近年、日本各地でアライグマの被害が拡大しています。
「足音や鳴き声がする」「食べ物が食い荒らされている」「悪臭がする」となれば、アライグマなどの害獣に積みつかれている可能性は高く、放置するほどその被害は拡大していくでしょう。
しかし、民家に棲みつく害獣はアライグマ以外にも複数存在するため、アライグマの仕業かどうかを調べて適切に対処することが重要です。
本記事では、アライグマの習性や被害を防ぐために知るべき行動パターンを解説します。
被害を最小限に食い止めるためにも、この記事の内容を参考に適切な対処を実施しましょう。
目次
野生のアライグマに見られる習性
ここでは、野生のアライグマに見られる習性を解説します。
その特徴を理解し、被害を最小限に食い止めましょう。
雑食性でなんでも食べる
アライグマは雑食であり、穀物・果実・野菜・水生動物・昆虫・鳥のヒナや卵など、なんでも食べる習性があります。
とくに、イチゴ・スイカ・メロンなどの甘い果実が好物であり、農作物への被害は深刻です。
種子・畜産飼料・残飯、果ては生ごみまで口にするため、人々の生活圏はアライグマにとって食料の宝庫といえるでしょう。
また、アライグマは人間と同じような5本の指を持ちかつ前足が非常に器用なため、たとえばミカンの皮をむいて食べたり、スイカは穴を開けて中身のみをくり抜いて食べます。
こういった習性も、アライグマの被害を抑えるうえで重要なポイントといえるでしょう。
木登りが得意
アライグマは運動能力の高い動物であり、とくに木登りが得意でジャンプ力もあります。
そのため、木を伝って柵を乗り越えたり、木や建物を登ってお住いの住宅の屋根裏に浸入・棲みついてしまう可能性が高いでしょう。
ただし、木登りが得意なものの、家屋などへの侵入の際に「登る」という行動の優先度は低めであることが調査の結果判明しています。
行動パターンとしては「入りやすい隙間を探す」→「破けそうな侵入口であれば破いて入り込む」→「それでもダメなら登って侵入口を探す」という具合です。
そのため、敷地内に柵を設置するのは有効な手段の一つといえるでしょう。
夜間に活動することが多い
夜行性であるアライグマは、主に夜間に活動が活発化します。
日中にまったく行動しないというわけではありませんが、基本的にエサを求めて徘徊するのは暗くなってからといえるでしょう。
その後、明け方になると複数のねぐらから寝る場所を探して眠りにつきます。
アライグマの睡眠時間は、12~14時間ほどといわれています。
複数のねぐらを持っている
アライグマは一つの場所に住むのではなく、一匹一匹が複数のねぐらを持っています。
夜間にエサを求めて活動し、明け方になると今日のねどことなる場所に戻り睡眠を取るという習性があるようです。
住処としやすいのは「人気が少ない」「雨風をしのげる」「餌に困らない」といった場所で、住宅の天井裏や床下をとくに好む傾向があります。
住宅の天井裏や床下は、上記3つの特徴をすべて兼ね備えています。
加えて、断熱材が設置されていることから、夏は涼しく・冬は暖かく…と、アライグマにとって快適に過ごせる環境なのです。
高い場所に登るのが得意なことから天井裏にも簡単に入り込めるため、そのまま家のなかに住み着かれてるケースは増大しています。
餌を求めて民家周辺をウロウロする
アライグマが夜間に活動が活発になるのは、エサとなるものを探すためです。
繁殖期は3月から5月の春先であり、子育て中は群れで行動するため、時期によっては複数匹で集まっているところを見かけることもあるでしょう。
なお、アライグマはエサとなるものが豊富な環境ほど活動範囲が狭くなるという習性を持っています。
人が住まう民家であればエサに困ることは早々なく、かつ天井裏など快適な空間で過ごせるため、一度棲みつかれるとなかなかその場を離れることはありません。
繁殖されると被害はどんどん広がるため、存在や痕跡などを発見したら、早めに対策を取ることをおすすめします。
性格は獰猛で人間を襲うこともある
見た目こそ可愛らしいアライグマでは、その性格は非常に獰猛で攻撃的です。
自分より大きな人間に対しても牙をむく危険性があるため、基本的に接触は避けたほうがよいでしょう。
とくに威嚇時は要注意。
歯を剝き出しにしながら「ギューッギューッ!」「シャーッ!」といった唸り声を発し、近づくと襲い掛かってきます。
とりわけ繁殖期は気が立っていて非常に危険なため、春先はとくに警戒すべきといえるでしょう。
同じ場所に糞尿をする
アライグマは、決まった場所に何度も糞を残します(溜め糞という)。
これは、仲間に自身の健康状態を知らせたり、エサ場の情報を伝えるための手段といわれています。
また、エサを巡って争う別の動物、自分の存在を知らしめるマーキング行為でもあるようです。
これは、アライグマだけでなく、たぬき・イタチ・ハクビシンといった他の害獣もおこなう習性があります。
動物にとっては重要な行為ではあるものの、人間とっては迷惑以外のなにものでもありません。
アライグマの危険性
アライグマは、その見た目に反して人々に害をなす「害獣」として認識されています。
ここでは、アライグマが害獣として認識される理由、その危険性について解説します。
感染症のリスクがある(健康被害)
狂暴な性格に加え、野生動物との接触はさまざまな感染症を発症するリスクがあります。
接触はもちろん、襲われて怪我をした際に傷口から感染する恐れもあるため、大人であっても不用意に近づくべきではありません。
とくに、小さなお子さんやペットと一緒にお住いの方は、感染症のリスクには十分な警戒が必要といえるでしょう。
食べ物を食い荒らされる(食害)
アライグマは食欲旺盛+なんでも口にするため、食害が大きな問題となっています。
農業関係者がアライグマの食害で受ける年間被害総額は、3億円とも4億円ともいわれており、その被害額は年々増加傾向にあります。
農業関係者だけでなく、一般市民もアライグマによる食害には十分な警戒が必要です。
家のなかにある食べ物や生ごみを荒らされる可能性、家庭菜園をしている方は農作物への被害、また一緒にお住いのペット(小さな鳥獣など)をアライグマが食べるといった問題も後を絶ちません。
棲みつかれた場合の被害は想像を絶するものになり得るため、被害が軽微なうちに適切な対処を講じるべきといえるでしょう。
精神的なストレス(騒音被害)
民家に棲みついた場合、人々が寝静まった夜間に活発化するため、足跡や鳴き声といった騒音被害を受ける可能性があります。
夜中は周囲の生活・環境音も少なくなるため、余計にアライグマの存在が気になることでしょう。
精神的なストレスが増大すると、不眠や幻聴など体にさまざまな悪影響をおよぼす危険性があるため、注意が必要です。
建物の腐食(糞尿被害)
アライグマが自身の糞尿を処理をすることはなく、自身の習性も相まって同じ場所に糞尿がたまり続けます。
その結果、悪臭の原因となったり・天井などにシミができたり…。被害が進行すると建物を腐食させる恐れすらあるでしょう。
この糞尿被害を放置し続けると、最悪の場合は建物の倒壊につながる恐れもあるため、非常に危険です。
野生のアライグマの被害を防ぐ方法
「習性や被害内容は理解したけど、具体的にどう対処すればいいの?」と感じる方もいるでしょう。
ここでは、野生のアライグマの被害を防ぐ方法を解説します。
専門業者や自治体に相談する
被害を最小限に抑える一番の方法は「害獣駆除の専門業者に駆除を依頼する」ことです。
素人にできることには限界+リスクがあり、かつ法律によって管理されているアライグマを無許可で捕獲・駆除することもできません(申請する際には狩猟免許が必要となる)。
費用こそかかるものの、一貫してすべての作業を作業員が担当してくれるため、長期的に被害に悩まされずに済む環境を作り出せるでしょう。
「いきなり専門業者に相談するのは不安…」という場合は、お住いの自治体に相談してみるのもよいかもしれません。
なかには、専門業者を斡旋してくれる・相談に乗ってくれるといったサポートを受けられる可能性があります。
ただし、以下の点には注意しておきましょう。
- 自治体によってサポート内容は異なる(対応していない自治体もある)
- 自治体が直接的に駆除を担当してくれることはない
- 一般の方が利用できる補助金制度などはほぼない
自治体の対応を受けられるかどうかは、お住いの自治体のホームページや問い合わせ等で確認してみるとよいでしょう。
市販の対策グッズで対処する
アライグマだけでなく害獣・害虫などの被害を防ぐために、市販の対策グッズが多数販売されています。
こういった対策であれば、自治体に許可をとらなくてもアライグマの侵入をふせぐ・追い出すなどの対処を自身でおこなうことは可能です。
たとえば、アライグマは臭いや光を嫌うため、忌避剤やライトなどを侵入経路に設置するとよいでしょう(敷地内に電気柵などを設置するのも有効)。
追い出しに成功したあとは、金網やパンチングメタルなどの頑丈なアイテムで侵入経路を封鎖しましょう。
ただし、対策グッズの設置・侵入経路の特定や封鎖・清掃や消毒など、すべての作業を素人が完璧にこなすことは困難であり、下手をすれば被害が拡大しかねません。
あくまで被害を防止するための手段として市販の対策グッズを利用し、もしも家屋内にアライグマが棲みついていた場合は専門業者に駆除を依頼したほうが手間もリスクも大幅に軽減できると考えておきましょう。
衛生面を徹底的に管理する
アライグマはエサを求めて現れるため、自宅周辺にエサとなるものを置かないようにしましょう。
- 食べ物の残りやペットのエサなどを出しっぱなしにせず片づける
- 掃除を定期的におこない、食べ物のカスなどをきれいに処理する
- 生ごみは密閉できる箱などに入れて、開けられないようロックする
- ゴミを溜め込まず、回収時間に合わせて速やかに処分する
- 熟した農作物はすぐに収穫し、エサ場だと認識されないようにする など
上記の対策グッズの設置に加え、衛生面まで徹底的に管理すれば、アライグマも警戒して近寄りづらくなるでしょう。
合わせて、庭の雑草を適度に処理する・敷地内にある木の枝などを剪定するなど、隠れ蓑や侵入経路となり得る場所もきれいにしておくとより効果的です。
まとめ
アライグマは狂暴な性格をしており、人間を襲うこともあります。
また、人々の生活圏に忍び込み、さまざまな被害をもたらします。
アライグマに棲みつかれないようにするには「棲みにくい環境を作ること」が重要です。
被害を発生させないようにできる限りの対策を施しつつ、万が一棲みつかれた場合は、被害を最小限にとどめるために早めに専門業者や自治体に相談してみましょう。
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