日本には数多くの野生鳥獣が生息しており、地域によって生息する鳥獣や被害内容に違いが見られます。
農作物への食害が深刻なことはもちろんのこと、近年では市街地に出没し人身被害をもたらす生き物や家屋に棲みついて害獣被害を発生させる類も存在しています。
自然豊かな地域が広がる鹿児島県にもさまざまな野生鳥獣が生息していますが、どのような野生鳥獣が出没しやすく、どういった被害をもたらしているのでしょうか?
本記事では、鹿児島県において出没しやすい野生鳥獣の種類や被害内容についてご紹介します。
害獣の具体的な防除法についても解説しておりますので、害獣の被害にお悩みの方はぜひ参考にしてください。
目次
鹿児島県の地域の特徴について
鹿児島県は日本の九州地方に位置する県であり、県庁所在地は鹿児島市です。
薩摩半島・大隅半島の二つの半島、そして多くの離島を有しており、県内には豊かな自然が広がっています。
本章では、鹿児島県の土地環境や気候・栽培されている農作物(農林水産物)について詳しくご紹介していきます。
鹿児島県の気候や土地環境
鹿児島県は日本の西南部にあり、面積は約9,189平方キロメートルで全国第10位、東京都の約4倍あり九州のなかで一番面積の広い県です。
薩摩・大隅の二大半島からなる県本土と、甑島・種子島・屋久島・トカラ列島・奄美群島など200有余の島々からなっています。
鹿児島県には19市8郡20町4村があり「鹿児島地域」「南薩地域」「北薩地域」「姶良・伊佐地域」「大隅地域」「熊毛地域」「大島地域」の地域に大別されます。
以下は、各地域の大まかな特徴です。
地域名 | 特徴 |
鹿児島地域 | ・薩摩半島の中央部に位置する鹿児島市・日置市・いちき串木野市の3市、薩摩半島の南西に位置する三島村、屋久島と奄美大島の間に7つの有人離島が点在する十島村からなる地域 ・3市は東側に桜島・錦江湾を望み、西側には日本三大砂丘の一つで白砂青松の吹上浜によって東シナ海に面している ・多様で豊富な温泉資源に恵まれており、桜島・錦江湾や三島村・鬼界カルデラの2つのジオパークが日本ジオパークとして認定されている ・県都鹿児島市を擁していることから、さまざまな都市機能が集積し、人・モノ・情報の交流拠点として重要に役割を担っている |
南薩地域 | ・吹上浜砂丘、坊・野間のリアス式海岸、開聞岳、池田湖、天然砂むし温泉など豊かな自然環境に恵まれている地域 ・篤姫ゆかりの今和泉、知覧の武家屋敷群や特攻平和会館、秋目の鑑真記念館などの歴史的資源や川辺仏壇などの伝統工芸品、かつお節、お茶などの特産品が有名 ・指宿菜の花マラソン、川辺二日市、吹上浜砂の祭典や枕崎港まつりなどの個性豊かな多彩なイベントもおこなわれている |
北薩地域 | ・県北西部に位置しており、九州三大河川の一つである川内川が流れている地域 ・陸繋島や陸繋砂州、潟湖など珍しい地形の見られる甑島などの島々、東シナ海に面した美しい海岸線やラムサール条約に登録された藺牟田池など豊かな自然に恵まれている ・出水平野に飛来する鶴や奧薩摩のホタル、出水麓や入来の武家屋敷群、ブリやタケノコといった食材などが有名 |
姶良・伊佐地域 | ・霧島山系をはじめとする景勝地や温泉、肥薩線を中心とする近代化産業遺産群など優れた自然や観光資源に恵まれている ・地域のほぼ中央に鹿児島空港が位置すること、九州縦貫自動車道・東九州自動車道などの高速道路、日豊本線・肥薩線・吉都線などの鉄道が走る交通の要所でもある ・霧島国際音楽ホール、霧島アートの森、上野原縄文の森、県民の森など特色ある文化・交流施設が数多く存在している |
大隅地域 | ・鹿屋市をはじめとする大隅半島の4市5町で、地域の面積は県全体の約23%を占めている ・広大な土地、豊かな自然を活かした農林水産業が展開されており、農業生産額は県内の約4割を占める ・さまざまな食材に恵まれているほか、かのやばら園や本土最南端の佐多岬など観光資源として価値ある豊かな自然環境や景勝地を有している |
熊毛地域 | ・種子島・屋久島とそれぞれの属島である馬毛島・口永良部島の4島からなる地域 ・種子島は、日本唯一の実用衛星打上げ基地を持つ宇宙への玄関口として、また日本で初めて鉄砲が伝来した歴史ある島として有名 ・屋久島は洋上アルプスといわれ、島の中央部には2,000m近い山々がそびえたち、その自然のおりなす景観などが普遍的な価値を持つとして評価され、日本で初めて世界自然遺産登録がなされた島である |
大島地域 | ・奄美市及び大島郡(1市9町2村)からなり、地域内には南北約400㎞に連なる8つの有人島(奄美群島)がある ・奄美群島は、奄美群島国立公園に属する景勝地や希少な動植物、熱帯樹に囲まれた集落など豊かな自然に恵まれた、亜熱帯の島々である ・亜熱帯性・海洋性の優れた自然だけでなく、伝統芸能や大島紬・黒糖焼酎、亜熱帯性の果物類など、個性的で多様な観光資源に恵まれている |
気候については南北に約600キロの長さがあるため、北部と南部では気候が大きく異なります。
- 九州本土の県北部にある伊佐市の1月の最低平均気温は氷点下1.2℃で、山形県の酒田市とほぼ同じ
- 県南部にある指宿市の1月の最低平均気温は8.6℃で、伊佐市よりも10℃近く高い など
九州最高峰の峰々が連なる屋久島には冷温帯の一面もあり、山岳部では毎年のように積雪があります。
(鹿児島県は全体的に降水量が多く、各地の年間降水量は2000ミリを超える)
また、鹿児島市は九州7県の県庁所在地ではもっとも寒く・積雪も比較的多く、逆に奄美地方は南日本気候に属するほど暖かいとされています。
鹿児島県の主な農林水産物と農業事情
鹿児島県の農業は、温帯から亜熱帯まで広がる豊かで変化に富んだ自然条件を生かして、耕種・畜産を中心に野菜・茶・さとうきび・さつまいも・米などを基幹作物として、多彩な営農を展開しています。
鹿児島県の主な農畜水産物は、以下の通りです。
【農産物】
- さつまいも(かんしょ):作付面積は全国の3割以上を占め、でん粉・焼酎・青果・食品加工など幅広く利用されている(収穫量全国1位)
- 茶:全国茶品評会において産地賞、農林水産大臣賞を受賞するなど質・量ともに全国トップレベル(荒茶生産量全国2位)
- さとうきび:県南西諸島の基幹作物であり、約7割の農家が生産している(収穫量全国2位)
【畜産物】
- 豚:バークシャー種で生産基準を満たした肉豚をブランド「かごしま黒豚」として販売。豚の飼養頭数は全国の14%を占める(飼養頭数全国1位)
- ブロイラー:出荷羽数は全国の約2割を占めている(出荷羽数全国1位)
- 肉用牛:県内各地で飼育されている黒毛和牛は、地域内一貫生産体制が進みつつあり「鹿児島黒牛」のブランドで販売されている(飼養頭数全国2位)
【水産物】
- ぶり(養殖):主産地は八代海や錦江湾で、近年は海外へも多く輸出されている(収獲量全国1位)
- かんぱち(養殖):主産地は錦江湾で、平均水温22℃という温暖な海で育った鹿児島カンパチは、味・品質とも評価が高い(収獲量全国1位)
- くろまぐろ(養殖):奄美大島・甑島・南さつま市・錦江湾内で養殖がおこなわれている(収獲量全国2位)
- うなぎ(養殖):主産地は大隅地域で、良質な地下水で育てられた鹿児島のうなぎは全国でも評価が高い(収獲量全国1位)
鹿児島県では、基幹産業の農業を持続的に発展させていくため、就農意欲の喚起や効率的かつ安定的な経営の実現を目指す認定農業者など担い手の確保・育成、6次産業化による付加価値向上、販路拡大、農畜産物の輸出拡大、アンテナショップやウェブサイトを活用した情報発信など、生産・加工・流通・消費に至る施策を一体的に展開しています。
また、全国第3位の長い海岸線を有し、黒潮の恵みを受けて各地域で特色ある水産業が定着しており、一年を通じて旬の魚が生産されていることも特徴です。
鹿児島県の野生鳥獣による害獣被害について
自然あふれる鹿児島県には多種多様な野生鳥獣が生息していますが、時に人々の生活圏に入り込み、さまざまな悪影響をもたらします。
農作物への食害はもちろん、近年は家屋に棲みついて害獣被害をもたらす動物も増加しており、鹿児島県でも被害を軽減できるようさまざまな対策が講じられています。
本章では、鹿児島県の令和5年度の農作物への被害状況や、県内で実施している農作物の鳥獣被害防止対策事業についてご紹介します。
令和5年度の農作物への被害状況
鹿児島県のホームページにある「令和5年度野生鳥獣による農作物被害の状況」にて、県内の野生鳥獣による農作物への被害状況を確認できます。
それによると、令和5年度の野生鳥獣による農作物被害額は約2億9,800万円であり,対前年度比90%と公表されています。
獣類・鳥類に分けて見た場合、それぞれ被害額が大きい動物は以下の通りです。
【獣類】(単位:千円)
獣類 | 令和2年度 | 令和3年度 | 令和4年度 | 令和5年度 |
イノシシ | 194,966 | 170,920 | 161,603 | 174,369 |
シカ | 63,892 | 47,586 | 45,890 | 31,414 |
サル | 13,310 | 11,602 | 11,383 | 11,966 |
アナグマ | 14,426 | 13,612 | 10,849 | 9,811 |
タヌキ | 3,363 | 5,613 | 5,178 | 6,885 |
その他獣類 | 10,487 | 9,937 | 12,134 | 17,784 |
合計 | 359,574 | 259,270 | 247,037 | 252,229 |
イノシシによる被害がもっとも多く、全体の58%を占めています。
また、令和4年に比べて被害が減少しているのはシカとアナグマのみであり、イノシシ・サル・タヌキ・その他獣類はすべて被害額が増加しています。
【鳥類】(単位:千円)
鳥類 | 令和2年度 | 令和3年度 | 令和4年度 | 令和5年度 |
カラス | 26,260 | 24,488 | 20,256 | 18,984 |
ヒヨドリ | 55,398 | 34,874 | 47,875 | 15,591 |
スズメ | 5,029 | 7,635 | 14,728 | 4,613 |
その他鳥類 | 9,522 | 7,173 | 10,522 | 6,744 |
合計 | 96,210 | 74,170 | 83,380 | 45,932 |
鳥類による被害は、カラスがもっとも多く約1,900万円となります。
獣類に比べて被害額は低めであり、特に令和5年で被害額が大幅に減少していることがわかります。
鹿児島県の鳥獣被害対策に関する補助事業について
日本の各地域では野生鳥獣への被害を軽減するため、さまざまな支援事業をおこなっています。
支援内容は地域によって異なるケースもありますが、鳥獣被害対策に係る人材育成・補助事業(鳥獣被害防止総合対策交付金)・地域ぐるみの被害防止対策などが挙げられます。
野生鳥獣は農林業などを営んでいる方だけでなく、その地域に住まう住民にも被害がおよぶ恐れがあります。
そのため、地域住民が主体となって被害防止対策をおこなう必要があり、野生鳥獣の特徴や地域住民にできることなどを正しく理解しておく必要があるでしょう。
農作物への被害で特に注意すべき鳥獣とは?
この章では、鹿児島県において農作物への被害が多い鳥獣の特徴や被害額の詳細について解説します。
被害額などの詳細は、鹿児島県が公表している「令和5年度野生鳥獣による農作物被害の状況」を参考にしております。
警戒すべき獣類
まずは獣類からのご紹介です。
ここでは計5種類の野生動物をご紹介しており、アナグマやタヌキなどの中・小型の動物は、家屋に棲みつきさまざまな被害をもたらす厄介な害獣としても知られています。
野生動物の被害は農作物だけにとどまらず、人々の生活に甚大な悪影響をおよぼす恐れがあることを理解しておきましょう。
イノシシ
イノシシは日本各地で個体数の増加・分布の拡大が進んでおり、どの地域でもその被害が問題視されています。
鹿児島県ではその被害額はもっとも多く、令和2年から令和5年の被害額は以下のように公表されています。
- 令和2年度:194,966(千円)
- 令和3年度:170,920(千円)
- 令和4年度:161,603(千円)
- 令和5年度:174,369(千円)
田畑への主な被害内容としては、以下が挙げられます。
- 畑や田んぼを踏み荒らす
- 雑食性で、水稲・いも類・野菜・果樹などさまざまな作物を食害する
- 水田で泥浴びをする(寄生虫やダニを落とすため) など
また、近年はエサを求めて市街地にまで出没するケースが増えており、2024年10月14日には鹿児島市にて70代女性がイノシシに襲われ怪我をしたという報道もされています。
万が一イノシシと遭遇した際は、イノシシを刺激しない・静かにその場を離れる・見えない場所に避難することが重要です。
以下は、イノシシに襲われる危険性が高まるため、絶対にやめましょう。
- イノシシの進行方向をふさぐ
- 大きな声を出す
- 急に動く
- 背を向ける
- 石を投げたり、棒を振り上げる
また、イノシシの被害を防ぐには、イノシシを寄せ付けない環境整備をすることも重要です。
大切なことは、野生動物が本来あるべき山間部から下りてこないよう、人間との住み分けを進めることといえます。
シカ
シカによる被害は、農業・林業を営んでいる方にとっては死活問題であり、鹿児島県でもイノシシに次いでその被害が発生しています。
令和2年から令和5年の、イノシシによる農作物への被害額は以下の通りです。
- 令和2年度:63,892(千円)
- 令和3年度:47,586(千円)
- 令和4年度:45,890(千円)
- 令和5年度:31,414(千円)
シカにとって人間が育てる農作物は栄養豊富なご馳走であり、果樹などを食べることが多いとされています。
冬場など食べ物が少なくなってくると、毒草以外の植物や落ち葉を食べて飢えをしのぎ、それでも足りない場合は樹皮を剥いで食べます(オスが角をこする際に樹皮を剥がすこともある)。
樹皮を剥がれた樹木は枯れてしまうこともあり、シカが増加した森林は枯れ木の多い森へと変化する恐れが高まるでしょう。
また、近年は平野部においても目撃事例が増えており、警戒が必要です。
シカは比較的おとなしい性格をしており、シカ側から人を襲うようなことはほとんどありません(平野部に現れても帰巣本能によってしばらくすると山へ帰っていく)。
しかし、人間側から近づく・逃げ道をふさぐ・驚されるといった行動をすると、シカは自分が追い詰められたと感じてパニックになってしまい、暴れることがあります。
シカを見かけた場合は、何もせず、静かにその場を立ち去りましょう。
サル
鹿児島県ではイノシシ・シカに次いで3番目に被害が多く、令和2年から令和5年の被害額は以下のように公表されています。
- 令和2年度:13,310(千円)
- 令和3年度:11,602(千円)
- 令和4年度:11,383(千円)
- 令和5年度:11,966(千円)
また、サルも県内の市街地での目撃情報が増加しており、警戒が必要です。
サルの注意すべき点としては「人馴れ」「群れで行動する」が挙げられます。
人にとっても馴染み深い動物のため、見かけた際にエサをあげようとする人もいるかもしれません。
しかし、人からエサをもらうとサルは人に慣れてしまい、警戒心を緩めて何度も同じ場所付近にやってきます。
サルは群れで行動するため、集団で現れ・家屋への侵入や人間に対する威嚇といった生活被害や人身被害を引き起こす可能性が高まってしまうのです。
サルを見かけても、なにもせず(目を凝視しないこと)静かにその場を立ち去りましょう。
万が一追いかけられた場合は、手提げ袋などの手荷物はその場に置き、その場から立ち去ってください。
また、サルは窓などから家の中に入って家屋を荒らすこともあるため、出没の可能性がある地域では施錠を忘れないよう注意しておきましょう。
アナグマ
鹿児島県では、アナグマの目撃情報も増加しています。
アナグマの特徴としては、以下が挙げられます。
- 主に丘陵地や山地に生息している
- 頭胴長50cm程度のイタチ科の哺乳類であり、体色はくすんだ褐色で足と胸はやや濃い褐色を呈している
- タヌキに間違われることがあるが、タヌキより足が短く、全体にずんぐりした体型をしている
- 夜行性で、土壌動物などの小動物を捕食し、森林内の地表に掘ったトンネル内で家族生活する など
最大の特徴は「穴を掘る」ことであり、畑や家庭菜園で育てている農作物を食い荒らされる恐れがあります。
鹿児島県での、令和2年から令和5年のアナグマによる農作物への被害額は以下の通りです。
- 令和2年度:14,426(千円)
- 令和3年度:13,612(千円)
- 令和4年度:10,849(千円)
- 令和5年度:9,811(千円)
また、アナグマは家屋の床下に棲みつき、家に住む住人や建物に甚大な被害をおよぼす害獣としても認識されています。
特に、アナグマは土を掘る習性から、家下の地面を掘り返されると地盤が緩んでしまい、最悪の場合建物が倒壊する危険性もあります。
地震大国である日本で地盤が緩めば、それだけ災害に遭う危険性は高まってしまうでしょう。
もし、アナグマやその痕跡を見つけた場合は、被害が大きくなる前にプロの害獣駆除業者へ対処を依頼することをおすすめします。
タヌキ
タヌキも、サルと同じく日本人にとって古くから馴染みのある動物です。
しかし、実際は山林や田畑を荒らす害獣であり、近年は家屋に棲みつきさまざまな被害をもたらすという点でも厄介者扱いされています。
もともと自然界に生息するタヌキですが、近年は自然環境が大きく減少したことにより人里へ下りてくるケースが増加し、農家の田畑や山林の近隣住民に多大な被害をおよぼしています。
鹿児島県でのタヌキによる農作物への被害は大きく、令和2年から令和5年の被害額は以下の通りです。
- 令和2年度:3,363(千円)
- 令和3年度:5,613(千円)
- 令和4年度:5,178(千円)
- 令和5年度:6,885(千円)
小さい果物だけでなく、大きめの農作物にも被害がおよび、その被害は年々深刻化しています。
また、家屋の屋根裏や床下など家屋に棲みついた場合は、食害だけでなく、騒音・悪臭・感染症の発病・建物の劣化といったさまざまな被害をもたらす恐れがあります。
アナグマと同様、タヌキやその痕跡を家の周辺で見つけた場合は、プロの業者へ相談するなどして早急に対策を講じましょう。
警戒すべき鳥類
群馬県において農作物への被害が大きい鳥類は、カラス・ヒヨドリ・スズメの3種です。
カラス以外の鳥類は、一般の方からすると害鳥という印象を受けないかもしれませんが、農家の方からすれば「農作物を食い荒らす」ことから警戒すべき存在といえます。
以下、鹿児島県で警戒すべき3種の鳥類の特徴をご紹介します。
カラス
カラスによる被害は日本全国どの地域に住んでいても発生するものであり、農業を営んでいる方だけでなく、一般の方にも無視できないものといえます。
農作物への被害についてですが、令和2年から令和5年のなかではもっとも甚大な被害額を出しています。
- 令和2年度:26,260(千円)
- 令和3年度:24,488(千円)
- 令和4年度:20,256(千円)
- 令和5年度:18,984(千円)
被害は年々減少傾向にはあるものの、令和5年でも約2,000万円近くの被害を出しているため、今後も十分な警戒が必要です。
また、市街地でのごみ袋を漁る問題や鳴き声による騒音、巣を作る行為など地域住民にとっても迷惑な害鳥として認識されています。
カラスによる被害は日本全国共通であり、各地域単位でさまざまな対策が実施されています。
それでも、空からやってくるカラスの被害をゼロにすることは至難の業であり、被害を極力減らせるよう地域が一丸となって対策に取り組んでいく問題といえるでしょう。
ヒヨドリ
ヒヨドリも全国に分布している小型の鳥であり、日本周辺にしか生息していないため、海外のバードウォッチャーの観察対象となるほど人気のある鳥です。
しかし、果樹を食害するため、農家にとっては対処すべき害鳥として認識されています。
ヒヨドリによる被害はカラスに次いで甚大であり、令和2年から令和5年の被害額は以下のように公表されています。
- 令和2年度:55,398(千円)
- 令和3年度:34,874(千円)
- 令和4年度:47,875(千円)
- 令和5年度:15,591(千円)
一時期…たとえば平成24年度はヒヨドリによる農作物への被害額は約1億4,000万円にのぼっており、対策の甲斐あって今の被害まで大幅に軽減できているといえるでしょう。
それでも令和5年度で約1,600万円の被害を出していることから、今後も警戒が必要な鳥類の一種といえます。
スズメ
スズメも、サルやタヌキと同様に古くから日本人にとって馴染み深い生き物といえます。
しかし、スズメによる農作物への被害はなかなかに大きく、鹿児島県では令和2年から令和5年の被害額は以下のように公表されています。
- 令和2年度:5,029(千円)
- 令和3年度:7,635(千円)
- 令和4年度:4,728(千円)
- 令和5年度:4,613(千円)
スズメは、稲作の天敵である害虫を食べてくれることから「益鳥」として考えられてもいましたが、同時に稲を食べることから農家にとっては悩ましい存在として認識されています。
近年では上記の通り農作物への被害が深刻化しているため、放置しておくわけにもいかないでしょう。
野生鳥獣の被害相談は自治体や害獣駆除業者へ!
野生鳥獣の被害に悩まされている方は、まずお住いの自治体へ相談してみるとよいでしょう。
自治体によってサポートの有無や内容は異なるものの、害獣被害の相談に乗ってくれるケースは多いといえます(被害相談・業者の斡旋・捕獲機の貸し出し・補助金の交付など)。
ただし、自治体が本格的に対処に動いてくれるのは、田畑など経済的な被害が発生するときや地域全体で甚大な被害が発生する可能性があるときが基本であり、家屋に棲みついた害獣を自治体が駆除してくれるケースはほぼないといえるでしょう。
もし「家屋に棲みついた害獣をなんとかしたい」「害獣の被害に悩まされないように対策したい」という方は、プロの害獣駆除業者へ相談することをおすすめします。
プロの業者へ依頼すれば、害獣の駆除・侵入経路の封鎖・害獣がいた箇所の清掃や消毒などを徹底しておこなってくれますし、万が一被害が再発した際も迅速かつ格安で対応してもらえます。
業者によってサービス内容や防除費用は異なるため、複数社に現地調査・見積もりを依頼し比較したうえで、より自身が安心・納得できる業者を選ぶことが重要です。
まとめ
野生鳥獣による被害は全国各地でさまざまに発生しており、地域ごとに然るべき対策が講じられています。
鹿児島県でもさまざまな対策が実施されているものの、野生鳥獣による被害をゼロにすることはできず、人間と野生鳥獣がどのように共生していくかが今後の課題となるでしょう。
また、農作物への被害だけでなく、家屋に棲みつく害獣にも注意が必要です。
一般の方が害獣対策をすることには限界があり、かつ多大な手間をリスクを伴うため、もし実際に被害に遭っている・害獣や痕跡を目撃した場合は、被害が大きくなる前にプロの業者へ対処を依頼することをおすすめします。
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