「トコジラミ」は、主に夜間に活動し就寝中の人間などに吸血する害虫です。
自宅はもちろん宿泊先などありとあらゆる場所で発見されており、荷物や服などに紛れて別の家屋に浸入、その繁殖力から被害が拡大し続けています。
本記事では、トコジラミの見つけ方や駆除方法、被害を抑えるコツなどをご紹介します。
トコジラミの被害にお悩みの方は、ぜひ本記事を参考に対処してみてください。
目次
「トコジラミ」とはどんな生き物?
本章では、トコジラミの特徴についてご紹介します。
人に対してどのような害をなすのか、生息場所はどこかなど、特徴をしっかりと把握し適切な対処を講じていきましょう。
トコジラミの特徴について
「トコジラミ」は別名「南京虫(なんきんむし)」とも呼ばれているカメムシの仲間であり、吸血昆虫です。
大きさは成虫で5~8mmほど、色は茶褐色・背腹は扁平な体つきをしています。
また、成虫であっても飛ぶことはできません。
「生命力」と「繁殖力」が高い
トコジラミは「生命力」と「繁殖力」の高い昆虫です。
雄・雌(幼虫・成虫)ともに栄養源は血液のみですが、吸血しないままでも1年ほど生きられる個体もいます。
一般的な殺虫剤が効かない(効きづらい)点にも注意が必要といえるでしょう。
そして、雌の生涯産卵数は200~500個といわれており、1日に5・6個の卵を産みます。
約1週間ほどで卵からかえり・2週間ほどで幼虫となり吸血をおこないます。
なお、トコジラミはゴキブリのように不完全変態(漸変態)をおこなう昆虫であり、蛹の時期はありません(幼虫は5回の脱皮を経て成虫になる)。
数が少ないうちは体が小さいことから見つけづらいのですが、放っておくとどんどん増殖してしまうため、気づいたときにはできるだけ早急に駆除・対策を講じた方がよいといえるでしょう。
「生息場所」について
トコジラミは夜行性+基本的に「暖かく・暗い場所」を好む傾向にあり、生活環境の清潔度に関係なく棲息・繁殖する昆虫です。
他の昆虫と同じく夏を中心に活動が活発になる傾向がありますが、冬場であっても暖かい部屋(暖房されている部屋)などでは時期に限らず被害が発生し続けます。
トコジラミの生息場所としては、たとえば以下が挙げられます。
- ベッドの隙間や裏・マットレスの中
- 家具の隙間や裏
- 本棚(本の間も)
- ダンボール
- カーペットの下
- 床や壁の継ぎ目・たたみのへり
- ブラインドやカーテン
- 電化製品の裏や内部
- 障子・掛け軸の裏 など
とくに夜間に吸血する生き物のため、寝室・布団・ベッド周りに多く生息する傾向があるでしょう。
宿泊先のホテルのベッドなどに生息していることもあり、気づかずにトコジラミを荷物とともに持ち帰り、自宅でも繁殖する…といった流れで、生息場所を拡大し続けています。
トコジラミの被害について
本章では、トコジラミの被害についてご紹介します。
放置するほど繁殖し人体への被害が大きくなっていくため、異変を感じたらできるだけ早急に対策を講じてみましょう。
主な被害は「痒み」である
トコジラミによる主な被害は「吸血による痒み」です。
夜行性であるトコジラミは、人が就寝中の暗くなったタイミングで活動を開始し、栄養源となる血液を奪いにきます。
狙われやすいのは腕・足・首まわりなどの、衣類から露出している部分です。
また、吸血対象となるのは、人だけでなく、犬や猫・ねずみ・鳥などからも吸血します。
もしペットと一緒に住んでいる方は、ペットに被害が及ばないようより注意が必要ともいえるでしょう。
トコジラミは一度に大量の血液を吸うことから、吸血時間が10分~20分など長時間に及ぶケースもあります。
体重の何倍もの血液を吸うことから、吸血すると腹部が膨らみ、体長も大きく(長く)なります。
吸血され続けるとどうなるのか?
トコジラミに刺された場合、刺された箇所に赤っぽい発疹ができます。
結論、トコジラミによる被害は「痒み」が主であり、今のところ感染症の媒介に関する報告はないようです。
この症状(痒み)には個人差があり、眠れないほどの激しい痒みで血がにじむほどかいてしまう人もいれば、刺され続けていると痒くなくなるという人もいます。
ただし、ときには発熱を伴うなどの症状が出ることもあるため注意が必要です。
症状がひどい場合は病院などで治療を受けるようにし、トコジラミの駆除を実施した方がよいといえるでしょう。
「ダニ」との違いはなに?
刺された際に痒みを発症するという点から「ダニ」を連想される方もいるかもしれません。
どちらの仕業によるものか?を確認する方法として、まず大きさの違いが挙げられるでしょう。
ダニは肉眼で確認できないほど小さいサイズであり、トコジラミは成虫で5~8mmほどのため肉眼でも確認することができます。
とくにトコジラミが生息しやすいのは寝室や狭い場所のため、まずはベッド(布団)周りやマットレス・カーペットの下などをチェックしてみるとよいでしょう。
また、トコジラミは吸血した大部分を糞として体外へ排出するため、生息している場所に「血糞(けっぷん)」という黒いシミが多く見られます。
もしも2mm程度のシミのような汚れを多く確認できたら、トコジラミの仕業と考えてもよいかもしれません。
もしも肌が露出している部分に虫刺されのような痒みを感じたら、周辺の環境を調べてみましょう。
「トコジラミ」の予防法
本章では、トコジラミに刺されないためにできる予防法をいくつかご紹介します。
トコジラミは自宅だけでなく、宿泊先など他所でも遭遇する可能性があるため、それぞれの予防法を解説します。
自宅での予防法
自宅でできる予防法としては、主に以下が挙げられます。
- 潜みやすい場所を中心に、こまめに掃除機をかける
- ベッド・布団周りをできるだけ整理整頓する
- 目張りをして、隙間をできる限りなくす など
トコジラミは、生活環境の清潔・不潔に関係なく棲息・繁殖します。
しかし、トコジラミが生息しづらい環境を作る(隠れ場所を極力なくす)工夫をすることで、被害をある程度防ぐことができるかもしれません。
また、トコジラミは明るい場所が苦手であるため「電気をつけたまま寝る」ことでも多少の予防効果があります。
電気をつけたまま寝る+アイマスクをする・肌の露出を抑えた服装で寝ることで、刺されにくくなる可能性もあるでしょう。
ただし、電気をつけたままだと寝づらく・電気代もかかってしまうこと、トコジラミが空腹だと明るい場所でも刺す可能性があることから、ずっと電気をつけたまま寝ることはおすすめできません。
あくまで一時しのぎの手段として捉えておき、できるだけ早く駆除をおこなった方がいいでしょう。
宿泊先でできる予防法
宿泊先・外出先などでトコジラミが気になる方は「隙間」をチェックしてみましょう。
ベッド・床・壁などの隙間に潜んでいたり、血糞や抜け殻が落ちていることもあります。
もしも痕跡があった場合は、部屋を変更してもらえないか相談してみるのもいいかもしれません。
また、トコジラミが自宅で繁殖する原因の一つに「荷物などに紛れて外出先から持ち帰ってしまう」ことが挙げられます。
トコジラミを持ち帰ることが無いように、明るい部屋で荷造りをし、帰宅したあとも荷物などに潜んでいないかチェックしておくとよいでしょう。
これは、引っ越しの際も同様です。
ダンボールなどに引っ付いて新居に入り込んでしまうケースもあるため、気になる方は適宜チェックすることをおすすめします。
自身でトコジラミを駆除する方法と注意点
本章では、自身でトコジラミを駆除する方法・注意点をご紹介します。
自身で駆除できるものの、適切な方法で対処しないと被害が拡大する恐れもあるため注意しておきましょう。
自身で駆除する方法
まずは、自身でトコジラミを駆除する方法をご紹介します。
掃除機で吸い取る
もしもカーペットをめくった際に大量のトコジラミがいたら……?
トコジラミを効率よく駆除する方法は「掃除機で吸い取る」ことです。
ゆっくりと掃除機を動かし、トコジラミを確実に吸い込んでいきましょう。
ただし生命力が強いことから、掃除機で吸い込んでも「掃除機のなかで生きている」ことがあります。
吸い取った掃除機をそのまま置いておく・別の場所に移動するなどすれば、掃除機の隙間からトコジラミが出てきて被害が広がる可能性があるかもしれません。
そのため、吸い取ったゴミはすぐに密閉して捨てるようにしましょう。
ガムテープで捕まえる
トコジラミや卵をガムテープでくっつけて駆除するのも有効です。
見える範囲で丁寧に捕まえ、使用したガムテープは密閉してすぐに捨てましょう。
ただし、ガムテープを介しているとはいえトコジラミを捕まえることに抵抗がある方もいるでしょうし、カメムシ類であることから触れるとカメムシと同じような嫌な臭いを発します。
誤って潰してしまうと吸血した血が飛び散ることもあるため、注意が必要といえます。
マスクや手袋などの防護手段を用意したうえで、駆除をおこなってみるとよいでしょう。
トコジラミ専用の殺虫剤を使用する
トコジラミに有効な成分は「プロポクスル」「メトキサジアゾン」であり、専用の殺虫剤を利用して駆除することもできます。
ただし、市販の殺虫剤ももっとも一般的なものは「ピレスロイド系」であり、この殺虫剤はトコジラミには効果が薄い(効かない)可能性が高いといわれています。
殺虫剤を利用する際は、トコジラミに効く専用の殺虫剤かどうかを確認したうえで購入・使用するようにしましょう。
不用品を廃棄する
もしも被害が拡大してしまった場合は「駆除」ではなく「廃棄」した方が効果的なケースもあります。
つまり、布団・家具・カーテンなどそのものを廃棄し、根こそぎ除去する方法です。
たとえば、使い古した日用品や家具などの場合は、駆除よりも廃棄した方が経費が安価で確実な場合もあるでしょう。
とくに、段ボールはトコジラミが隠れやすいため、不要なダンボール(被害のある場所に置いてあるもの)は捨ててしまうのもよいといえます。
熱で処理する
生き物は基本的に「熱」に弱いため、熱で処理するのも有効な手段といえます。
とくに「布類」は熱処理が有効であり、シーツや衣類などは81度以上のお湯に5分以上浸けておくことで、トコジラミだけでなく卵も駆除できる可能性があります。
布団や畳などの場合は、駆除業者が熱乾燥車を保有していれば、熱処理ができるかもしれません。
ただし、熱によって変形する・縮む・色落ちするといったものは不向きのため、実践する前に確認しておくことをおすすめします。
自身で駆除する際の注意点
トコジラミを自身で駆除することもできますが、いくつか注意すべき点もあります。
ここで、その注意点をいくつかご紹介します。
ゴミは密封してすぐに捨てること
掃除機やガムテープなど、駆除に利用し発生したゴミは、すぐに密閉して捨てましょう。
とくに掃除機は要注意であり「吸い込んだ掃除機のなかで生き永らえ、繁殖してしまう」ケースもあります。
その掃除機を別の場所に移動させた場合、掃除機の隙間から外に出て、より被害が拡大してしまう恐れもあるため、とくに注意が必要です。
殺虫剤は専用のものを使用すること
上述でもお伝えした通り、一般的に販売されている殺虫剤の多くは「ピレスロイド系」であり、このタイプを使用してもトコジラミに効かない可能性があります。
「効果のない殺虫剤を噴射してトコジラミが逃走→別の場所で繁殖する」といったケースで被害が拡大する恐れもあるため、殺虫剤を利用する際はトコジラミに効く殺虫剤を使用するようにしましょう。
被害にあったものを他の部屋に持ち出さないこと
駆除に利用した掃除機・掃除に利用したほうき・被害が発生した場所にあるものは、基本的に別の場所に持ち出さないことをおすすめします。
その理由は、持ち出した物品にトコジラミが付いており、別の場所で繁殖し被害を拡大する恐れがあるからです。
トコジラミの繁殖力は驚異のため、少しの油断が被害を加速される要因にもなり得る点に注意しておきましょう。
自身の手に負えない場合は業者に依頼しよう!
トコジラミを自身で駆除することもできますが、四六時中警戒し続けることは難しいでしょう。
とはいえ、いつどこで被害が拡大するかもわからないため「自身の手に負えない」と判断した場合は、専門の駆除業者に依頼するのも手段といえます。
専門業者に依頼すれば、被害を受けた部屋周辺を徹底的に調査し、薬剤などによる駆除だけでなく再発も徹底的に防止してくれます。
また、アフターフォローが充実している業者であれば、万が一再発した際にも無償or格安で駆除してくれるでしょう。
自身で対処することに比べると費用はかかるものの「自身でできることには限界がある」ため、トコジラミの被害が気になる方は早めに業者に依頼するのもよいといえます。
まとめ
トコジラミは、人々の生活環境のなかに潜んでおり、人だけでなくペットなど他の動物にも吸血する恐れがあります。
アレルギー反応には個人差があるものの、吸血された部分が「赤く腫れる」「痒くなる」だけでなく、人によっては発熱などの症状を発するケースもあるでしょう。
トコジラミに刺された場合は、病院(皮膚科)に行き、早急に対処することをおすすめします。
もしも「自分で対処しきれない」「トコジラミの駆除に抵抗がある」という場合は、放置せずに専門の駆除業者に相談しましょう。
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