イタチの足跡の特徴とは?他の動物との見分け方や被害を防ぐ方法を解説

害獣・害虫別

お住いの家屋や農地が害獣の被害に遭い、かつ付近で小さな足跡を見つけたのであれば、それはイタチの仕業かもしれません。

害獣は基本的に警戒心が強く・普段は人目につかないよう生活しているため、被害内容だけで種類を特定するのは困難です。

しかし、足跡からある程度絞り込むことは可能なため、足跡を発見したらその特徴を確認してみるとよいでしょう。

本記事では、イタチの足跡の特徴・他の動物との見分け方や見つけたときの対処法をご紹介します。

日本に生息するイタチの種類

本章では、日本に生息するイタチの種類についてご紹介します。

現在、日本に生息するイタチは以下の4種類が挙げられます。

  • ニホンイタチ
  • シベリアイタチ(チョウセンイタチ)
  • イイズナ
  • オコジョ

なお、シベリアイタチはもともと「チョウセンイタチ」という名称でしたが、令和3年度より名称が変更されました。

上記のなかで「イイズナ」と「オコジョ」は北海道や東北地方といった寒い地域しか生息しておらず、本州に生息するのは主に「ニホンイタチ」と「シベリアイタチ」になります。

ここでは、一般の方が目にする機会が多い「ニホンイタチ」と「シベリアイタチ」について、その違いを解説していきます。

ニホンイタチの特徴

ニホンイタチは、日本に古くから生息している在来種のイタチです。

ニホンイタチの特徴は、主に以下が挙げられます。

  • 体の色:茶褐色~赤褐色(夏季)、山吹色(冬季)
  • 顔の特徴:額から鼻先まで濃褐色の斑紋がある
  • 体長:オス27~37cmほど、メス16~25cmほど
  • 体重:オス290~650gほど、メス:115~175gほど
  • 尻尾の長さ:オス12~16cmほど、メス7~9cmほど

シベリアイタチに比べると、体が小さく・尻尾が短いことが特徴に挙げられます。

夏季であれば体の色でシベリアイタチと見分けることも可能ですが、冬季になると同じような山吹色に変わることから、体の色では判別が困難です。

ただし、ニホンイタチ自体、数が少ない+生息環境が野山であることが多いため、人前に現れることは滅多にないといえるでしょう。

シベリアイタチの特徴

シベリアイタチは「チョウセンイタチ」「タイリクイタチ」といった別名を持つ、外来種のイタチです。

もともとは「毛皮を取るため」もしくは「ネズミを駆除する」といった目的で海外から日本へ持ち込まれましたが、繁殖力の強さもあって、在来種であるニホンイタチを追いやり生息数を増加させています。

そんなシベリアイタチの特徴は、主に以下の通りです。

  • 体の色:やや褐色がかった山吹色
  • 顔の特徴:鼻・口・喉が白い
  • 体長:オス28~39cmほど、メス25~31cmほど
  • 体重:オス650~820g、メス360~430gほど
  • 尻尾の長さ:オス16~21cmほど、メス13~16cmほど

ニホンイタチと比べて体が大きく、かつ尻尾が長いことが特徴に挙げられます。

数が多いこと+住宅街にも適応して棲みつくことから、害獣被害をもたらすのはもっぱらシベリアイタチだとされています。

イタチの足跡の特徴

イタチの足跡の特徴としては、以下が挙げられます。

  • 足跡のサイズは2~3cmほど
  • 形は似ているものの、後ろ足のほうが前足より1cmほど大きい
  • 指が5本あり、その先に小さな爪がついている
  • 肉球と指は離れて跡が残る など

イタチは、そもそも体重が軽いため、泥跡や雪の上ならばともかく、乾燥した土の上に足跡が残ることはほぼありません。

綺麗に足跡が残ると5本の指が確認できるものの、体重が軽いためすべてが残らないケースも多く、3本や4本のみが確認できることも珍しくありません。

なお、爪と肉球が離れていることから、梅の花びらのような形の足跡が残ることが特徴に挙げられます。

他の害獣との足跡の違い

害獣と呼ばれる存在は他にもさまざまな種類が存在し、それぞれで特徴が異なります。

本章では、アライグマと他の害獣の足跡の違いをご紹介しましょう。

「テン」の足跡の特徴

「テン」の足跡は、イタチより少し大きく3~4cmほどあります。

イタチ同様に指先と肉球の跡が離れている(形が似ている)ため判別がしづらいものの、大きさで見分けることも不可能ではありません。

また、テンはイタチよりも体重が重いこと・後足の肉球があまり露出していないことから、足跡が残りやすいという特徴があります。

「ハクビシン」の足跡の特徴

「ハクビシン」の足跡は、前足と後ろ足の形が異なることに加え、前足は四角っぽい肉球に5本の指と爪がついていることが特徴に挙げられます。

足跡の大きさは前足が4cm~5cm・後足は7cm~9cmほどであり、かかとを地面に付けることから後ろ足のほうが細長くなります。

どちらかというと、小さな人の足跡を連想させる形に見えるでしょう。

ハクビシンは木登りが得意で鋭い爪を持っており、足跡でも5本指の先に爪の形が残ります。

「アライグマ」の足跡の特徴

「アライグマ」の足跡の大きさは、前足5.5㎝・幅6㎝程度、後足6.8~8㎝・幅5~6.5㎝程度で後ろ足のほうが少し大きめ+縦長です。
(歩くときや立ち止まるときにかかとを地面に付けることから、後足のほうが縦長となる)

小さな人の手のような形の先に爪跡が残ることが特徴に挙げられるでしょう。

およそイタチの2倍ぐらいある大きさ+特徴的な足跡から、イタチとの足跡の判別はしやすいといえます。

「アナグマ」の足跡の特徴

アナグマはアライグマと見た目が似ており、足跡も5本指かつ指先に鋭い爪がついています。

足跡は、前足も後足も同じ大きさで、いずれも長さ6.5㎝、長さ5㎝程度の大きさです。

イタチに比べると少し大きい+横幅も広いため、足跡の大きさや幅で見分けることができるかもしれません。

害獣の足跡が付きやすいのはどこ?

かならずしもすべての害獣に通用するわけではありませんが、害獣が主な侵入経路として利用する場所には以下が挙げられます。

  • 屋根の隙間
  • 通風口・換気口
  • エアコンダクト
  • 排水パイプ など

とくに、イタチは小柄で3cmほどの隙間があれば侵入できるため、上記箇所などで足跡を確認してみるのもよいといえるでしょう。

侵入経路を封鎖する場合も、上記に隙間がないかをしっかりと確認しておくことをおすすめします。

足跡以外でイタチを見分ける方法

足跡も害獣を特定するうえで重要な要素となり得ますが、素人がそれだけで判別することは難しいでしょう。

本章では、足跡以外でイタチを見分ける方法をご紹介します。

鳴き声や足音

加えて夜行性のため、夜中に鳴き声や足音が聞こえることが多いでしょう。

イタチは、鼻を鳴らす・キュッキュッという声を出す傾向にあります(鼻を鳴らす理由は、鼻から息を強く吐き出すことで仲間とのコミュニケーションを図るor嗅覚のリセットをおこなうため)。

夜中に屋根裏などで音が聞こえた場合は、イタチなど害獣の侵入を警戒したほうがよいといえるでしょう。

糞のにおいや形状

イタチは雑食であるものの肉食を好む傾向があるため、糞のにおいが非常に強烈です。

また、イタチの糞は細長く・水分が多いことから、これらの特徴が見られる糞を発見した場合は、近くにイタチが棲みついている(巣がある)可能性が高いと考えてもよいでしょう。

なお、糞には多数のウィルスや寄生虫が付着しているため、絶対に素手で触らないようご注意ください。

被害状況

イタチが家屋に棲みついた場合、以下のようなさまざまな被害をもたらす可能性があります。

鳴き声や足音による騒音被害
糞尿(溜め糞)による健康被害や建物の腐食
電線や断熱材などをかじる・引き裂く など

もしも、なにかしらの噛み跡や引き裂き跡、血痕や死骸などが確認できた場合は、イタチ被害を考慮すべきといえるでしょう。

また、イタチはその見た目に反して非常に攻撃的な性格をしているため、不用意に接触すると引っ掻きや噛みつきといった攻撃を受けることもあります。

傷口から病原菌などが侵入し、重度な病気を発症する恐れもあるため、十分な警戒が必要です。

イタチの被害を防ぐ方法

イタチを放置しておくと、健康・住宅への被害が増大するため、早急に対策を講じる必要があります。

本章では、イタチの被害を防ぐ方法についてご紹介します。

忌避剤などを利用する

市販の忌避剤(害獣が嫌うにおいなどを発するもの)を各所に設置し、イタチを寄せ付けなくする方法です。

イタチは嗅覚が発達しておりにおいに敏感なため、該当する忌避剤や木酢液・竹酢液・クレゾールなどの設置が有効といえるでしょう。

また、煙や光を嫌う傾向もあるため、燻煙材を焚く・強い光を発するものを利用するのも一定の効果があるといえます。

仮に追い出しなどに成功した後は、後述の対策をしっかりと実施していくことをおすすめします。

清掃を徹底する

イタチは雑食性のため、食べかすや生ごみでも口にする可能性があります。

生ごみなどに引き寄せられたネズミなどを目当てに建物に侵入してくるケースもあるでしょう。

そのため「生ゴミは放置しない」「密閉できるゴミ箱に捨てる」「掃除を徹底する」などして、衛生面をしっかりと管理することが重要です。

ゴミ箱の近くに、ネズミが嫌うメンソールのにおいを巻いておくのもよいでしょう。

また、ペットと一緒にお住いの方は、ペットフードの管理にも注意しておきましょう。

ペットフードの食べ残しは素早く片付け、密閉容器を利用して保管することをおすすめします。

侵入経路をふさぐ

仮に、家屋内に潜むイタチを追い出すことができても、侵入経路が開いたままだといずれ再発する恐れがあります。

そのため、追い出しに成功したあとは、徹底的に侵入口となる隙間を封鎖しましょう。

イタチが侵入しやすい場所は、主に以下が挙げられます。

  • 屋根・壁の隙間
  • 換気扇
  • 換気口
  • エアコンの管 など

イタチは3cmほどの隙間からでも入り込めるため、網目の細かい金網などで隙間を覆うとよいでしょう。

敷地内を柵で囲む

もしも敷地が広い場合は、敷地の外を柵などで囲っておけば、イタチの侵入を防げる可能性が高まります。

とくに有効なのが「電気柵」の設置です。

「触れるだけで電流が流れる=警戒心を与える」ことができるため、イタチだけでなく他の動物の対策にも役立つでしょう。

専門業者に駆除を依頼する

イタチは「鳥獣保護管理法」という法律によって保護されている動物のため、仮に被害に遭っていても無許可・無免許で勝手に捕獲や駆除ができません。

そのため、一般の方がイタチの対処をおこなう場合はできることに限界がある(基本は侵入防止・追い出しのみ)ため、被害を危惧される方は早めに害獣駆除業者に相談すべきといえるでしょう。

これは、イタチだけでなく、他の害獣に対しても同じことがいえます。

業者に依頼すれば、すべての作業を一貫しておこなってくれるだけでなく、再発した際も適切に対処してくれる可能性も高いため、長期的に被害に悩まされることがなくなるはずです。

ただし、費用やサービス内容は業者によって異なるため、かならず相見積もりをとって、自身が安心・納得できる業者に依頼してください。

まとめ

イタチは、その可愛らしい容姿とは裏腹に、人々の生活に害をなす「害獣」として認識されています。

棲みつかれるとさまざまな被害をもたらすため、足跡など痕跡を発見次第、早急な対処を実施すべきといえるでしょう。

一般の方でもできる対処法はいくつかありますが、もし「自身では対処しきれない」と感じた場合は、できるだけ早めに専門の事業者に相談してみることをおすすめします。

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