ハクビシンは、非常に器用かつ運動能力が高い動物であり、屋根裏にも素早く侵入しお住いの住人や建物に甚大な被害をおよぼします。
自治体によっては、害獣の防除に関してさまざまなサポートをおこなってくれるところもありますが、埼玉県さいたま市では、どのようなサポートが実施されているのでしょうか。
この記事では、埼玉県さいたま市が実施しているハクビシンの防除に関するサポート内容や、ハクビシン発見時にできる対処・防除法についてご紹介します。
さいたま市にお住いの方でハクビシンの害獣被害に悩まされている方は、ぜひ本記事を参考に対処を講じてみましょう。
目次
さいたま市におけるハクビシンの防除について
本章では、さいたま市におけるハクビシンの防除についてご紹介します。
ハクビシンの被害にお困りの方向けの相談先についても解説しておりますので、さいたま市にお住いの方はぜひ参考にしてください。
ハクビシンは無許可で捕獲ができない
ハクビシンは、さいたま市内にも身近に存在する外来生物です(特定外来生物ではない)。
胴体と同じくらいに長い尻尾・鼻から額上部にかけての白い筋が特徴的な動物であり、ネコと同程度の大きさを有しています。
雨どいや柱を垂直に登ることができるほど登ることが得意であり、頭が入れるほどの大きさ(人間の拳ぐらいの大きさ)であれば簡単に通り抜けることができるため、天井裏に浸入するケースが多いといえます。
一度棲みつくとなかなかその棲み処を離れようとせず、長く棲みつかれるほどに、住人への健康被害・建物への被害・食害・農作物への被害などが拡大していくため注意が必要な害獣です。
しかし、ハクビシンは「鳥獣保護管理法」の対象種であるため、仮に実害を被っている場合であっても自治体の許可なく捕獲することができません。
許可なく捕獲または殺傷などをした場合は、懲役や罰金に処されることがあるためご注意ください。
ハクビシンの被害は「くらし応援室」に相談しよう
もし、さいたま市内で「ハクビシンを見かけた」「ハクビシンにより実害が発生している」という場合は、くらし応援室へ相談してみましょう。
くらし応援室では、区民からの身近なニーズに応えるため、総合案内業務・土木緊急修繕・交通安全施設修繕・害獣(害虫)駆除の相談といった幅広い業務が実施されています。
ハクビシンの被害に関する相談にも乗ってくれるため、さいたま市にお住いの方は、まずはくらし応援室に連絡してみるとよいでしょう。
【さいたま市 くらし応援室】
- 住所 :〒336-8586 さいたま市南区別所七丁目20番1号(複合公益施設サウスピア6階)
- 連絡先:くらし支援担当 048-844-7136、土木担当 048-844-7138
また、各区ごとに暮らし応援室が設置されており、その連絡先は以下の通りです。
- 西区 :048-620-2626
- 北区 :048-669-6026
- 大宮区:048-646-3027
- 見沼区:048-681-6026
- 中央区:048-840-6026
- 桜区 :048-856-6137
- 浦和区:048-829-6052
- 南区 :048-844-7136
- 緑区 :048-712-1137
- 岩槻区:048-790-0128
実害に遭った場合は、現地確認のうえで被害状況に応じた防除対策の助言や捕獲などをおこなってくれるため、なにかあればお住いの各区役所くらし応援室へ相談してみましょう。
詳細は、さいたま市のホームページをご確認ください。
街中でハクビシンを見かけたら場合の対応
もし街中でハクビシンを見かけた場合も、お住いの区にあるくらし応援室に連絡してみましょう。
「ただ見かけただけで実害を被ったわけではない」としても、付近にハクビシンがいる場合、いずれは害獣被害を受ける可能性があるかもしれません。
ハクビシンに限らず害獣被害は地域単位で対策を実施しているところが多く、連絡しておくことで、さいたま市における害獣被害を未然に防ぐことができるでしょう。
ハクビシンを捕獲する際の許可申請の方法
ハクビシンだけでなく、野生鳥獣の多くは「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」によって、捕獲することが原則禁じられています。
ただし、害獣・害鳥により被害を受けており、かつ十分な防除策を実施しても被害を抑えることができない場合、許可を得ることで捕獲することが可能です。
さいたま市であれば、以下の書類を申請窓口である環境局 環境総務課に提出します(捕獲実施区はさいたま市全域)。
- 許可申請書
- 許可申請者名簿(捕獲実施者が複数人いる場合)
- 捕獲依頼書(被害者が第三者へ捕獲を依頼する場合)
- 捕獲を実施する区域の図面など(被害状況・防除策・捕獲方法などが確認できる写真)
(申請手数料は無料)
上記に加え、自身で捕獲する際は申請時点で「狩猟免許」も必要となります。
害獣駆除に関する知識や技術がない方だと、申請を取るだけでも多大な手間と時間を要します。
害獣駆除業者へ依頼すれば自身で許可申請をする必要がない(業者がおこなってくれる)ため、不慣れな方は自身で対処しようとせず、プロの業者へ依頼するのが得策といえるでしょう。
傷病野生鳥獣の保護について
野生の鳥獣は自然の中で生活をしており、ときに自然や他の生物との関わりのなかで傷を負ったり病気が発症することもあります。
もし、目の前で傷ついているハクビシンを見つけた場合、どうすればよいのでしょうか?
本章では、さいたま市における傷病野生鳥獣の保護についてご紹介します。
【要注意】すぐに保護はしないこと
弱っているもしくは怪我をしている野生鳥獣を見つけても、すぐに保護しないことが重要です。
その理由は、大きく2つ存在します。
保護することが野生鳥獣にとって良いことばかりではない
厳しい自然環境で生き抜く力がある動物は、多少の傷病であれば自ら癒す力を持っています。
逆に、人が保護することで、怪我を悪化させる・ショックを起こして命を落とす・野生に戻れなくなるといった問題を引き起こす可能性があるため、野生鳥獣にとっては保護することがかならずしも良いこととは言い切れません。
また、自然界には食物連鎖があり、野生生物の生と死によって生態系が成り立っています。
自然の傷病による野生鳥獣の死も生態系の重要な一要素であり、人間は自然の中で起こる出来事には手を出さずに見守ることが原則といえます。
触れることで被害を受ける可能性がある
野生鳥獣にはさまざまな寄生虫や病原菌が付着しているため、いくら怪我を負っているからといっても素手で触るのは止めたほうがよいでしょう。
また、野生動物は攻撃的な性格をしているものも多く、ハクビシンも不用意に近づけば(たとえ怪我をしていても)攻撃される恐れがあります。
引っかき・噛みつきなどで怪我を負った場合、そこから病原菌が侵入し感染症などの病気を発症する可能性があるため、非常に危険です。
「怪我をしている動物を放っておけない…」という心優しい方もいるかと思いますが、手負いの獣ほどなにをしてくるかわかりません。
野生鳥獣に精通している方ならばともかく、知識を持たない方が優しさだけで保護することは危険なため、然るべき場所へ連絡して対応してもらうのが得策といえるでしょう。
管轄する「環境管理事務所」へ連絡しよう
埼玉県の場合は「明らかな外傷があり、治療をおこなうことで野生復帰を見込める場合」に、野生鳥獣を保護し、治療をおこなう制度が設けられています。
そのため、もし弱っているもしくは怪我を負っている野生鳥獣を見つけた場合は、発見場所の住所地を管轄する環境管理事務所へ連絡してみましょう。
さいたま市の場合は、中央環境管理事務所が該当します(電話番号:048-822-5199)。
ただし、一部保護の対象としていないケースもあります。
詳細は、埼玉県のホームページにある「彩の国 埼玉県 傷病野生鳥獣保護について」にて確認できるため、確認しておくのもよいでしょう。
ハクビシンなどの野生鳥獣はペットにできるのか?
まず、ハクビシンをペットとして飼うことは多くの自治体において禁止されており、そもそも日本でハクビシンを販売しているペットショップのようなものも存在しません。
ハクビシンは見た目がとても可愛らしく、もし傷ついた野生のハクビシンを見つけた際に「保護・治療してペットにしよう」と考える方もいるかもしれませんが、絶対にやめてください。
野生の動物が人に懐くことはほぼありませんし、ハクビシン自体が攻撃的な性格をしているため、ペットとして飼うこと自体が不向きです。
「安易な考えで保護したものの、まったく懐かないので飼育放棄する」となれば、保護した人・保護されたハクビシン・周辺に住む住民のすべての人に不幸が降りかかります。
さまざまな危険を伴う可能性があり、そもそも多くの自治他で禁止されているため、ハクビシンを含め野生鳥獣をペットにしようと考えるのはやめておきましょう。
ハクビシンを家屋に浸入させない方法とは?
この章では、ハクビシンを家屋など敷地内に侵入させない方法についてご紹介します。
ハクビシンの捕獲には自治体の許可が必要ではありますが、侵入を防止する・追い出すことは無許可でもおこなうことができるため、対策を徹底してハクビシンによる被害を未然に防ぎましょう。
侵入経路をシャットアウトする
ハクビシンの侵入を防ぐ、追い出した後に被害の再発を防ぐためには、侵入経路となり得る場所を徹底的に封鎖することが重要です。
ハクビシンは木登りが得意で天井裏へ侵入する可能性が高いといわれていますが、その侵入経路となる箇所には以下が挙げられます。
- 劣化により外壁が脆くなった場所もしくは穴の開いた箇所
- 通風口としてあけられた基礎コンクリートの穴
- 屋根同士が重なっている場所 など
また、建物を増築している場合は、増築時の「つなぎ目」にも注意しておきましょう。
侵入経路となり得る場所が確認できれば、その箇所を金網や防獣ネットなどで徹底的に封鎖してください。
(過去に対策を施していたとしても、経年劣化であっさりと突破される可能性があるため、適宜チェックすることも重要です)
ハクビシンの侵入経路は多岐に渡るため、侵入を防止するには定期的に敷地内を観察する必要があるといえます。
エサとなり得るものを出しっぱなしにしない
ハクビシンは雑食性であり、人が口にする食べ物から、廃棄予定の生ごみまでなんでも口にします。
特に、糖度の高い作物(特に果物)を好んで食べる習性があるため、もし庭などで家庭菜園をしている場合はより注意が必要です。
また、ペットと一緒にお住いの方は、ペットフードの放置にも気を付けておくべきでしょう。
これらのことから、適度な清掃を心掛け、ハクビシンにとってエサとなり得るものを出しっぱなしにしないことが重要です。
- 常温保存できる食材を、密閉できる容器に入れて保管する
- 生ごみはフタつきのものなど密閉できる容器で保管し、早めにゴミとして出す
- 収穫可能な作物は早めに収穫する
- 廃棄予定の作物があれば、放置せずに早めに廃棄する など
ハクビシンにとって「この場所ではエサが簡単に手に入らない」と認識されることができれば、被害が減少する可能性は高くなるでしょう。
市販の対策グッズを活用する
ハクビシンに限らず、害獣・害虫に分類される生き物への対策グッズは、数多くの市販品が販売されています。
ハクビシンであれば、忌避剤(嫌うニオイ)・超音波(苦手とする音)・ライト(苦手な光)などが該当し、他の対策と併用して使うことで侵入防止効果を高めることができるでしょう。
ただし、同じ種類の罠を続けて利用しているといずれはその罠に慣れて警戒心を緩める可能性があるため、適度に罠の種類や設置場所を変更することをおすすめします。
身を隠せる草木を除草・伐採する
ハクビシンは警戒心が強い動物のため、家の周辺に身を隠せる草木がなければ警戒して近づきにくくなります。
そのため、丈の長い草木を刈り取る・落ち葉はまめに掃除をする・家まで到達できそうな木の枝などを伐採するなどして、隠れ蓑となる場所や侵入できそうな箇所をなくす対策も効果的といえるでしょう。
ハクビシンの防除はプロの業者へ依頼するのもおすすめ!
不慣れな方がハクビシンの防除をするには、多大な手間と時間を必要とします。
また、いくら最善の対策を実施したとしても、自然界からやってくるハクビシンの侵入を完璧に防ぐことも難しいでしょう。
もし「手間と時間を大幅に削減しつつ、中・長期的にハクビシンの被害に悩まされない環境を作りたい」という方は、害獣駆除の専門業者へ相談することをおすすめします。
プロへ依頼すれば、家屋に潜むハクビシンの駆除はもちろん、侵入経路の封鎖・清掃や消毒・再発時の迅速な対応などを徹底的におこなってくれます。
ただし、業者のなかには悪徳業者の類も存在し、いい加減な作業や不当な請求をしてくる可能性もあるため、業者選びは「相見積もり」をおこない複数社を比較することが重要です。
もし「いきなり業者へ相談するのは不安がある…」という方は、各自治体のくらし応援室などに相談してみるのもよいでしょう。
いずれにせよ、被害を放置するほど駆除や修繕にかかる費用は割高になっていくため、早め早めに然るべき場所へ相談することを意識しておきましょう。
まとめ
ハクビシンによる害獣被害は年々増加傾向にあり、埼玉県さいたま市でも、自治体単位で相談などのサポートを実施しています。
自治体がハクビシンの駆除をおこなうケースは稀ですが、無料相談・業者の紹介・捕獲機の貸し出しといったサポートを実施していることはあるため、ハクビシンの害獣被害に悩まされている方はお住いの区のくらし応援室などに連絡してみるのもよいでしょう。
ただし、区によってサポート範囲には違いがあるため、詳細は事前にチェックしておくことをおすすめします。
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