タヌキを駆除するには?撃退と寄り付き防止方法、習性や関連法令も解説!

その他

「我が家の庭にタヌキが毎日フンをしていく」
「敷地に入ってくるタヌキを駆除するべきかわからない」
「保健所に駆除を依頼したら断られてしまった」

こんなふうに悩んでいませんか?
タヌキ被害は放置しても自然に収まることは少ないため、早めの対策が重要です。
この記事ではタヌキの習性や駆除に関する法律、自力で追い払う方法などを解説します。

タヌキについて知っておくべき5つのこと

スムーズなタヌキ対策のために、知っておいてほしいことは次の5つです。

  1. タヌキは同じ場所で糞をする
  2. 人に感染する寄生虫をもつ
  3. 犬や猫の病気を保有する
  4. タヌキは勝手に駆除できない
  5. 市役所はタヌキを駆除してくれない

ひとつずつ見ていきましょう。

1.タヌキは同じ場所で糞をする

タヌキには同じ場所で糞をする「ため糞」という習性があります。
糞をする場所を「ため糞場」と呼び、自分の家族やほかの家族とも共有するため、糞が山盛りになるのが特徴です。
ため糞の目的は、自分の存在をほかのタヌキや動物に知らせること(マーキング)ですが、糞の内容物やにおいで互いの健康状態やエサの場所について情報交換も行っていると考えられています。

タヌキは気に入ったため糞場を10年近く利用することもあり、ハエや糞虫(コガネムシなど)の発生、悪臭などの原因となります。

2.人に感染する寄生虫をもつ

タヌキは「エキノコックス」「トキソプラズマ」など、人にうつる寄生虫を保有します。
エキノコックスに感染した場合は命を落とすこともあり、回復には手術と長期間の治療が必要です。
トキソプラズマは母体から胎児へ感染することがわかっており、流産の原因となったり、子どもに視力障害や精神疾患などの後遺症が残ったりします。妊娠中の方にはとくに注意してほしい寄生虫です。

3.犬や猫の病気を保有する

タヌキは犬と猫に感染する「疥癬症(かいせんしょう)」という病気をもちます。
疥癬症は「ヒゼンダニ」というダニが、タヌキの皮膚に寄生して起こる感染症で「激しいかゆみ」と「全身の脱毛」が特徴です。

疥癬症で全身の毛が抜けたタヌキ
▲疥癬症で全身の毛が抜けたタヌキ

疥癬症にかかったタヌキは強いかゆみでエサを取ったり眠ったりできず、脱毛による寒さもあり、発症から数週間で多くのタヌキが命を落とします。
タヌキに寄生する「ヒゼンダニ」は人の皮膚では繁殖できないため、人にうつっても症状は一時的ですがペットの犬や猫へは感染し、同様の症状が出ます

もし疥癬症のタヌキが自宅敷地内で死んだ場合、私有地のため市役所は対応してくれず、自分で処理するしかなくなってしまいます。
地域の自治体から「疥癬症のタヌキに注意」などの通知がある場合はとくに注意が必要です。

4.タヌキは勝手に駆除できない

庭で糞をしたり、様々な病気を保有したりするタヌキですが、じつは「鳥獣保護管理法」という法律で保護された動物のため、個人で勝手に駆除できません
殺鼠剤(ネズミ駆除用の毒餌)を食べさせたり、カゴ罠で捕獲したり、エアガンで傷つけたりなどの行為は禁止されています。

タヌキを駆除・捕獲したい場合は「狩猟免許(野生動物の狩りに必要な資格)」と「市役所の許可」が必要で、意外にハードルが高いのが現実です。
違反時は懲役刑や罰金などの罰則もあるため、無許可での駆除や捕獲は絶対に行わないでください。

5.市役所はタヌキを駆除してくれない

市役所や保健所は個人宅のタヌキ駆除はしてくれません
公的機関が行うのはタヌキに関する相談受付と対策方法のアドバイス、駆除業者の紹介などのサポートのみです。

一部の市町村(※)では生活環境への被害(庭に糞をされるなど)がある場合に限り「狩猟免許なし」で捕獲許可を出してくれますが、捕獲したタヌキの処分は自分で行わなければなりません。
タヌキの殺処分には専用の機材が必要なこともあり、市役所に頼った解決は難しいといえます。
(※)参考:川崎市 鳥獣捕獲許可の申請

タヌキを撃退して寄せ付けない方法3選

法律で保護されたタヌキですが、傷つけずに「追い払うだけ」なら免許や許可がなくても可能です。
放置するほどタヌキは図々しくなり被害も拡大するため、早めに対策しましょう。
ポイントは「ここは安全ではない」「ここはエサが取れない」とタヌキに思わせることです。
ここでは自力でできるタヌキ撃退方法を3つ解説します。

対策1:庭に来るタヌキはにおいで追い払う

嗅覚が優れているタヌキは強いにおいが苦手なので忌避剤(においで動物を追い払う薬剤)で撃退できます
忌避剤にはトウガラシやワサビ、ハーブの成分を含むもの、タヌキの天敵「オオカミ」の尿などがありますが、とくに「木酢液(もくさくえき)」が農業の現場でも広く使われており、安価でおすすめです。

木酢液とは木から炭を作る際に出る煙を冷やして液体にしたもので、焦げくさい独特のにおいが野生動物の寄り付きを防止します。
ホームセンターの園芸コーナーで、1.5リットル650円ほどで入手できます(※2024年8月現在)。
購入の際は「原液」と記載されたものを選びましょう。

タヌキを追い払うには木酢液を水で薄め、糞をされた場所とその周辺にジョウロなどで散布するか、原液を染み込ませたタオルや雑巾をハンガーにかけて吊るしてください。
被害場所だけ対策しても別の場所に排泄することもあるため、庭の入口など敷地全体への散布が理想です。

木酢液の希釈は2〜5倍が理想ですが、においが気になる場合は50〜100倍程度に増やし、忌避効果を見ながら濃度を調節してください。
芝生にかける場合は濃すぎると枯れてしまうため、製品に記載の希釈濃度を守りましょう。
散布後にタヌキが来なくなっても、においが消えると再度やって来る可能性が高いため、週1回の継続散布がおすすめです。

対策2:床下や車庫に居付いたタヌキは煙で追い出す

物置の床下、ガレージなどにタヌキが住みついた場合「煙」で追い出しましょう
野生動物は本能的に煙を嫌うため、専門の駆除業者もよく使います。

獣用線香」がおすすめですが「ネズミ用くん煙剤」「害虫駆除用のくん煙剤」でも代用可能です。
いずれもホームセンターやネット通販で購入できます。
それぞれの特徴は下表を参考にしてください。

種類概要/特徴
獣用線香「煙」「トウガラシ」のW効果。タヌキ以外の動物にも効く。
ネズミ用くん煙剤屋根裏のネズミ対策用。「煙」「ハーブ」のW効果。殺虫成分ゼロ。
害虫駆除用くん煙剤有名なのは「バルサン」。殺虫成分配合でゴキブリなどにも効く。

線香やくん煙剤は屋外ではにおいが薄まってしまいますが、密閉空間なら効果は絶大です。
とくに獣用線香はタヌキ、ハクビシン、イタチ、シカが来なくなったという声が多いため、ぜひ試してみてください。
ただしトウガラシのにおいが強く、人によってはくしゃみ、鼻水が止まらなくなります
ご近所や家族から苦情が出ないよう、火災や風向きに十分注意して使いましょう。

またタヌキを追い出したあとは再侵入させない対策も必要です。
タヌキは「6×8cmのすき間」から脱出したという実験結果(※)もあるため、床下へのすき間を金網やパンチングメタル(穴のあいた薄い鉄板)などでふさいでください。
(※)出典:農業および園芸 タヌキによる農作物被害の現状とその対策(1)

対策3.エサを片付けて来る理由をなくす

タヌキを追い払ったあとは、エサになりそうなものを徹底的に片付けましょう。
タヌキは食べ物を求めて人里へ降りてくるため、食べ物をなくすだけで寄り付きにくくなります

タヌキは雑食性で果実、穀物、魚、昆虫など何でも食べます
農作物や飼育魚(金魚、メダカ、コイなど)はまっさきに狙われるため、畑は支柱と防獣ネットで囲い、水槽は厳重にフタをして作物や魚に手が届かないようにしましょう。
畑と水槽の食害対策は次の記事を参考にしてください。
参考:アライグマは夜行性の害獣!作物や飼育魚を守る方法を徹底解説

また庭に柿やイチョウの木がある場合も要注意です。柿とギンナンはタヌキの大好物で、秋は冬に備えて脂肪をたくわえなければならないため、食害が増加します。
タヌキに食べられないうちに早めに収穫するか、木に登れないように工夫しましょう。

たとえば農研機構(農水省所管の研究機関)の実験では、トタンを傘状に巻いて木に吊るしておくと「ネズミ返し」と同じ原理でタヌキが登れなくなることがわかっています。
出典:農研機構 登はん能力からみたアライグマとタヌキのブドウ果実食害防止対策

また次の4つもエサをなくすことにつながるので、上記と合わせて行ってください。

  • ペットの食べ残しはすぐに片付ける
  • 庭に生ゴミを放置せず、コンポストは蓋付きにする
  • 水がたまる場所を作らない(水飲み場にされる)
  • 雑草や枯れ葉を山積みにしない(エサになる昆虫が発生する)

ここまでの方法で効果がない場合は、ホースやバケツで水を直接かけて追い払うのも有効です。
タヌキを威嚇できるよう水の勢いを強めにし、長袖、長ズボン(ジーンズのように厚手のもの)、長靴、作業用手袋を着用して噛みつきやひっかきに備えてください

また動物忌避に「超音波」は効果が低いことが実験で確認されていますが、個体によっては一時的に効く場合もあります。
超音波発生装置を無料で貸し出してくれる市町村もあるため、試したい場合は市役所へ問合せてみましょう。

まとめ|タヌキ駆除は素早く自分にできる範囲で行う

タヌキはかわいい見た目をしていますが、糞害や感染症の原因となる「害獣」です。
自宅をお気に入りの場所にされないよう早めに防除しましょう。

個人での駆除は法律的に難しいため、においや煙による追い出し、エサの片付け、床下への侵入口封鎖などをできる範囲で行ってください。
自己解決が難しい場合はタヌキ駆除業者への依頼も有効です。

このサイト「害獣駆除ガイド」を運営する「(一社)日本有害鳥獣駆除・防除管理協会」でもタヌキ被害のご相談を承っております。
お困りの際はお気軽にお問い合わせください。

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