沖縄県は、日本の九州地方かつ最西端に位置する地域です。
自然が豊かで沖縄ならではの文化も多く、沖縄への移住だけでなく観光スポットとしても人気があります。
人々に人気の高い地域ではあるものの、沖縄ならではの動物も存在し、時には人に対してさまざまな害獣被害をもたらすケースもあるため注意が必要です。
本記事では、沖縄に出没しやすい害獣の種類や特徴、効果的な防除方法をご紹介します。
目次
沖縄の地域性について
本章では、沖縄の地域性についてご紹介します。
日本の最西端に位置する沖縄は気候や土地環境に特徴があり、生態系も他地域とは若干異なるため、その特徴を理解しておきましょう。
沖縄の気候や土地環境
沖縄県は日本の九州地方に位置する県であり、日本の最西端にある地方自治体です。
総面積は2,281平方キロメートルであり、香川県・大阪府・東京都に次いで全国で4番目に小さい県とされています。
沖縄県の最大の特徴はその気候にあり、亜熱帯海洋性気候に属しているため平均気温が23.1℃と一年を通して温暖で、国内屈指のリゾート地としても人気です。
ただし、春から夏にかけて比較的雨量が多く、夏から秋には熱帯低気圧の通過路となるため台風が来襲しやすい地域でもあります。
沖縄にいる動物の生態系
沖縄県は、サンゴ礁の美しい海に囲まれた自然豊かな島であり、多くの固有生物が生息しています。
特にめずらしい動物が住んでいる地域としては、ジャングルで覆われた「西表島」と沖縄島北部の「山原」です。
沖縄には約7,600種の動物が記録されており、なかにはイリオモテヤマネコ・ノグチゲラ・ヤンバルクイナ・ヤンバルテナガコガネなど、沖縄にしかいない珍しい動物も生息しています。
沖縄に生息する注意すべき害獣とは?
本章では、沖縄に生息する数多の動物のなかで、特に注意すべき害獣をご紹介します。
沖縄ならではの気候で生息し、人の生活圏にさまざまな被害をもたらす恐れがあるため、その特性を正しく理解しておきましょう。
イノシシ
全国的にイノシシの生息数が増大していますが、沖縄にもイノシシは生息しています。
また、亜種であるリュウキュウイノシシも生息しており、沖縄でもイノシシの被害は看過できない問題として認識されています。
イノシシの特徴・害獣被害
日本国内に生息するイノシシは、主にニホンイノシシとリュウキュウイノシシに大別され、それぞれで大きさが異なります。
- ニホンイノシシ :体長約100~170cm、体重約70kg~190kg
- リュウキュウイノシシ:体長約90~110cm、体重約20kg~70kg
リュウキュウイノシシは、南西諸島の一部(沖縄諸島・石垣島・徳之島など)にしか生息していない亜種であり、ニホンイノシシに比べてサイズが小さいことが特徴に挙げられます。
なかには「犬だと思って近づいたらリュウキュウイノシシだった」ということもあるようです。
非常に神経質で警戒心が強いかつ見慣れないものを見かけると避ける習性があるものの、興奮状態のときに不用意に近づいたりするとこちらへ向かってくる恐れがあります。
その突進力は脅威であり、命に関わる大怪我を負う可能性もあるため、絶対に不用意に近づいてはいけません。
なお、基本的に昼行性といわれるイノシシですが、人の生活圏では人間を避けるため薄暗い時間帯や夜などを中心に活動します。
イノシシは「農家の天敵」といわれるほどで、特に農作物への食害が問題視されています。
農林水産省の調べでは、令和2年度のイノシシによる農作物への被害総額は約46億円といわれており、沖縄でもイノシシによる被害が全体の48.4%を占めているようです。
また、市街地に侵入したり、農作業をしていたところを突然イノシシに襲われるといった報道も増加しており、その害獣被害は深刻化しています。
対処法
イノシシへの対処法としては、主に以下が挙げられます。
- 柵を設置して侵入を防ぐ(電気柵も有効)
- イノシシが嫌がるニオイ・音・光で遠ざける
- 餌付けの要因となるものをなくす
- 隠れ場所をなくす
イノシシが人々の生活圏にやってくる要因は、農作物だけとは限りません。
イノシシは雑食性のため、農作物はもちろん、放置された果実・野菜クズ・残飯・生ごみなどなんでも口にします。
また、害獣被害を防ぐために、野生動物が隠れられる場所を極力なくすことも重要です。
耕作地周辺や休作地の雑草、田畑のそばにある管理不足の竹藪など刈ることで、害獣にとって安心できる場所がなくなり出没事態を減らす効果が期待できるでしょう。
なお、イノシシは鳥獣保護管理法という法律によって管理されているため、無許可で捕獲・駆除することはできません。
申請許可を得るにも狩猟免許を必要とし、そもそも野生のイノシシを知識や技術を持たない一般の人が対処するのは非常に危険です。
素人ができるのは侵入対策までと理解し、もしイノシシを見つけた際はお住いの自治体へ連絡しましょう。
イノシシの被害は地域全体の問題となるため、地域住民が一丸となって対処する必要があります。
ハブなどの蛇類
沖縄県には、さまざまな種類の蛇が生息しています。
なかにはハブのように毒を持った危険な蛇もいるため、注意が必要です。
蛇類の特徴・害獣被害
現在日本に生息している蛇は8種類であり、無毒・有毒と種類によって特徴が異なります。
【無毒の蛇】
- アオダイショウ
- シマヘビ
- ヒバカリ
- タカチホヘビ
- シロマダラ
【有毒の蛇】
- ハブ
- マムシ
- ヤマカガシ
無毒の蛇の場合、気性が荒いものもいますが、基本的には脅かさなければ追いかけてくることはないとされています。
しかし、有毒の蛇は猛毒をもっており、いずれも噛まれれば命に関わる危険もあり非常に危険です。
ハブは日本に4種類、主に沖縄や奄美大島などの南の地域に生息しています(ホンハブ・サキシマハブ・ヒメハブ・タイワンハブ)。
猛毒を持っており、噛まれると晴れ・腹痛・血圧低下などを起こし、意識が朦朧とするなどの症状が出ます。
対処法
もし仮にハブと遭遇してしまった場合、最優先は「ハブに近寄らないこと」が重要です。
ハブが威嚇・攻撃をするのは危険を察知して身を守るためであり、人間側から刺激を与えない限り危害を加えてくることは少ないとされています。
そのため、刺激せずにその場をそっと離れましょう。
(ただし、なかには威嚇することなく攻撃をしてくるハブもいるため要注意)
ハブが出没しやすい地域では「ハブ注意!」などの立て看板が設置されているため、仮に旅行などで沖縄に訪れた際も、怪しい場所には近づかないようにしましょう。
また、ハブが出没する地域では、意外な場所から現れる可能性があります。
もしハブが目の前にあらわれた・ハブの目撃例があって不安…という場合は、無理にどうこうしようと考えず、プロの害獣駆除業者へ連絡してみましょう。
確かな知識と技術を持ったプロのスタッフが、すぐに駆け付け問題を解決してくれるはずです。
ネズミ
日本全国のどこにでも生息しているネズミは、害獣として認識している方も多いでしょう。
沖縄でも他地域と同じように害獣被害をもたらすため、注意が必要です。
ネズミの特徴・害獣被害
ネズミにもさまざまな種類が存在しますが、家屋に浸入し被害をもたらすのは「ドブネズミ」「クマネズミ」「ハツカネズミ」の3種です。
- ドブネズミ :体長約240mm、体重約300g
- クマネズミ :体長約200mm、体重約200g
- ハツカネズミ:体長約75mm、体重約20g
ネズミは、繁殖力と環境適応能力が非常に高く、体が小さいことから身を隠しやすく、さまざまな場所で生息し繁殖し続けています。
家であれば、屋根裏や床下などに棲みつくことが多いでしょう。
ネズミによる害獣被害は、食害・騒音被害・健康被害・建物への被害・感染症の発病といったものが挙げられます。
特にネズミは永遠に伸び続ける歯を削るためにどんなに硬いものでもかじり、人が口にする食べ物や生ごみだけでなく建材や配線、コンクリートまでさまざまなものをかじります。
ネズミに棲みつかれると、人やペットへの健康被害だけでなく、建物の寿命も大きく縮めることになるため注意しなければいけません。
対処法
ネズミは鳥獣保護管理法の対象外となっており、誰でも許可なく捕獲・駆除することができます。
ネズミ駆除アイテムは市販品が多数販売されているため、それを利用することから始めるとよいでしょう。
また、ネズミの侵入経路を封鎖したり、掃除を徹底して部屋の中にネズミのエサとなるものを放置しないことも大切です。
一般の方でも対処法はさまざまにありますが、その繁殖力の高さから一度棲みつかれると対策グッズだけでは対処しきれないケースもあります。
もしネズミ被害を心配される方は、プロの業者へ相談することをおすすめします。
被害が拡大するほど、駆除費用や建物の修繕費用が高額となるため、早め早めに対処を依頼することが重要です。
コウモリ
コウモリは、翼があり飛行することから鳥の仲間と思われがちですが哺乳類の仲間です。
近年はコウモリによる害獣被害も増加しており、都市部でも看過できない問題とされています。
コウモリの特徴・害獣被害
コウモリにもさまざまな種類が存在しますが、日本で見られるコウモリのなかでは「アブラコウモリ」だけが市街地に生息し家屋を住処としています。
家屋の屋根裏や天井裏に巣を作ることからイエコウモリとも呼ばれており、この名を耳にしたことがある方も多いでしょう。
アブラコウモリは蚊・蛾・ハエ・カメムシなどの害虫を捕食することから一部では益虫ともいわれていますが、家に棲みつかれると食害(農作物への被害も含む)・騒音被害・健康被害・建物への被害・感染症の発病などさまざまな被害をもたらします。
また、コウモリも鳥獣保護管理法によって管理されているため、許可なく捕獲や駆除ができません。
他の害獣と同様、素人が下手に対処しようとすると多大な手間とリスクを伴うため、注意しておきましょう。
対処法
一般の方がコウモリ対策としてできることは「侵入を予防する・追い出す」ことだけです。
市販の忌避剤などを使って侵入を予防すること、目の細かいメッシュタイプの金網・鉄板・コーキング剤などで侵入口を塞ぐ対策が効果的といえます。
ただし、侵入経路を見つけることからして非常に困難なため、もしすでにコウモリに浸入されている場合は、害獣駆除業者へ対処を依頼することをおすすめします。
カラス
カラスも日本全国どこにでもいる生き物であり、人々の生活に多大な被害をおよぼしています。
ゴミを漁り、ときには人間をも襲うことがあるカラスは、沖縄であっても要注意です。
カラスの特徴・害獣被害
カラスは雑食性であり、果実や穀類などの植物質の食物や動物の死体などの動物質の食物まで幅広く口にします。
人々の生活圏であれば、廃棄予定のごみ袋を漁って生ごみを食べることが多いでしょう。
カラスのもっとも厄介な点は食害であり、農作物への被害も問題視されています。
また、鳴き声による騒音被害も多発しており、電柱や電線などに大量のカラスが集まって鳴き声を発するなど、地域全体の問題として取り上げられています。
現在はカラス対策が全国各地で実施されておりその被害は減ってきてはいるものの、今もカラスによる被害は軽視できるものではありません。
対処法
カラスは警戒心が非常に強く、学習能力も高い生き物です。
また、目ざとい動物でもあるため、被害を放置しておくとすぐに複数のカラスが集まって被害を拡大させてしまいます。
一般の方ができる対処法としては、光や超音波で追い払う・防鳥ネットを張る・餌場を取り除くなどが挙げられるでしょう。
ただし、カラスによる被害は地域全体で取り組む問題でもあるため、どうしてもカラスの存在が気になる場合はお住いの自治体などに相談してみるのもよいといえるでしょう。
沖縄における野生鳥獣の被害について
沖縄での鳥獣による被害で問題となっているのは、農作物への被害が挙げられます。
たとえば、令和4年度の農業への被害総額は4,754万円であり、前年度に比べ減少してはいるもののその被害は今も深刻です。
鳥獣種別で見ると、イノシシによる被害が全体の48.4%ともっとも大きく、次にハシブトガラスが21.1%、ネズミが8.8%となっています。
また、エサや棲み処を求めて、家屋など人々の生活圏に侵入し被害をもたらす害獣も増加しています。
上述でご紹介したネズミ・コウモリ・カラスだけでなく、他地域でも問題となっているイタチ・ハクビシン・アライグマといった別の害獣が出没する恐れもあるため、注意が必要です。
害獣被害は自治体やプロの業者へ相談しよう!
害獣の被害は、知識や技術が浅い一般の方が対処するのは困難なため、お住いの自治体や害獣駆除業者へ相談することをおすすめします。
自治体によっては、害獣の防除に関する相談に乗ってくれたり、(害獣によっては)対処に動いてくれることがあります。
また、害獣駆除業者の斡旋をしてくれるケースもあるでしょう。
害獣の生態に詳しいプロの業者に依頼すれば、安全かつ迅速に問題を対処してもらえます。
イノシシなどの中型の動物やもちろん、ネズミなどの小型の動物であっても素人が対処するのは危険なため、目撃例や痕跡などを発見した際は、被害が拡大する前に速やかに然るべき場所へ連絡しましょう。
まとめ
沖縄は、移住や観光スポットなど人々にとって人気の高い地域です。
しかし、沖縄ならではの動物も多数存在し、なかには人の生活にさまざまな悪影響をおよぼすものもいます。
被害を予防するための事前対策は一般の方でもある程度おこなえますが、被害が発生してからだと対処するのは困難です。
お住いの自治体や害獣駆除業者などに頼ることも考え、状況に応じて適切な対処を実施しましょう。
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