長野県に生息する野生鳥獣とは?危険な害獣の特徴や被害内容・効果的な駆除方法を解説!

都道府県

日本には数多くの野生鳥獣が生息しており、地域によって生息する鳥獣や被害内容に違いが見られます。

農作物への食害が深刻であることはもちろん、近年では市街地に出没し人身被害をもたらす生き物や家屋に棲みついて害獣被害を発生させる類も存在しています。

自然豊かな地域が広がる長野県にもさまざまな野生鳥獣が生息していますが、どのような野生鳥獣が出没しやすく、どういった被害をもたらしているのでしょうか?

本記事では、長野県において出没しやすい野生鳥獣の種類や被害内容についてご紹介します。

害獣の具体的な防除法についても解説しておりますので、害獣の被害にお悩みの方はぜひ参考にしてください。

長野県の地域の特徴について

長野県は、日本の中部地方に位置する県であり、県庁所在地は長野市です。

海に面していない内陸県であり、日本アルプスを始め大規模な山岳地があるため可住地面積率は低いとされていますが、その分広大な自然に囲まれた地域ともいえます。

本章では、長野県の土地環境や気候・栽培されている農作物について詳しくご紹介します。

長野県の気候や土地環境

日本の中部地方に位置している長野県は、関東甲信越(広域関東圏)の一つであり、首都圏(特に東京)とのつながりが深い地域です。

また、愛知県と隣接する県中南部は、名古屋を中心とした中京圏からのアクセスも良好とされています。

長野県は海がなく、日本を代表する複数の大河の源流となっています。

地域全体として標高が高く・地形が複雑。さらに、湿気の少ない内陸性気候という特異な自然環境が特徴です。

変化に富んだ地形の長野県は、その地勢上、県全体を「北信濃エリア」「日本アルプスエリア」「東信州エリア」「諏訪エリア」「木曽路エリア」「伊那路エリア」の6つに大別することができ、各地域で特徴が異なります。

エリア名特徴
北信濃エリア・全国区で人気の高い野沢温泉、名湯が連なる湯田中渋温泉郷、高山温泉郷など有数の温泉地として知られる(長野県は北海道に次いで温泉地数、第2位の温泉王国)
・新潟県との県境には、上信越高原国立公園と2016年に誕生した妙高戸隠連山国立公園が広がっている
・上信越高原国立公園内にある志賀高原は「ユネスコエコパーク」にも認定され、幽玄な亜高山性針葉樹林と美しい湖沼、高層湿原など、手つかずの大自然が最大の魅力
日本アルプスエリア・世界に誇る山岳リゾートであり、日本の原風景が広がる安曇野、岳都大町や白馬、乗鞍、そしてアルピニストの聖地である上高地など、名だたる人気観光地がひしめいている
・花の名山とも呼ばれる白馬は、色とりどりの高山植物の宝庫としても知られている
・松本盆地の南端にある塩尻市は個性豊かなワイナリーが点在する長野県きってのワインの銘醸地であり、年間日照時間が長く・雨が少ない気候はぶどう栽培にも適している
東信州エリア・千曲川沿いの豊かな穀倉地帯に広がる東信州は、避暑地である軽井沢をはじめ古くから高原リゾートとして開拓されてきたエリア
・晴天率も高く、高燥清涼の気候と相まって、高原野菜・ワイン・日本酒などの生産が盛んにおこなわれている
・天然記念物となっている60万株のレンゲツツジの大群落が見られる湯の丸高原は、花高原として人気が高い
諏訪エリア・霧ヶ峰高原、八ヶ岳中央高原、富士見高原など、豊かで広大な大自然が魅力のエリア
・日本最古の神社に数えられる諏訪大社をはじめとした、歴史ある寺社や宿場の町並みが残っている
・諏訪盆地の真ん中に位置する諏訪湖は長野県最大の湖であり、周辺はアートの街として有名でさまざまな美術館が点在している
・諏訪湖は八ヶ岳連峰、霧ヶ峰高原、南アルプス山系といった緑豊かなフィールドに囲まれており、八ヶ岳の西麓にある広大な富士見高原は花の宝庫としても知られている
木曽路エリア・木曽路エリアは、木曽川に沿って深く切れ込む谷間や険しい峠が続いており、山深く・平地が少ない土地柄で、独特の文化や風土が今も残されている
・「木曽路」は、平成28年に長野県発の日本遺産に認定され、今も注目を集めている
・木曽谷の約9割を占めるのは木曽五木を代表とする森林であり、貴重な森林資源を生かした地場産品が開発・生産されている
伊那路エリア・伊那路エリアは、中央アルプスと南アルプスに抱かれた山紫水明の地であり、険しさと同時に圧巻の自然美が広がっている
・中央アルプス宝剣岳にある千畳敷カールは高山植物の宝庫であり、南アルプスは富士山に次ぐ日本第2の高峰・北岳を擁する山脈(3000m級の山々)が連なっている
・天下の名勝といわれる観光スポット「天竜峡」「高遠城址公園」も有名な地域である

気候としては、長野県は内陸部に位置しているため基本的には内陸性気候となりますが、各都市は標高が異なり・さらに山脈や盆地の形状などの影響で修飾を受けるため、気候に違いが見られることが特徴として挙げられます。

たとえば、標高の高い地域などは中央高地式気候に、北信地方の大半・中信地方・東信地方の一部は日本海側気候の特色を、中信地方の一部と南信地方は太平洋側気候の特色を併せ持つ…といった具合です。

ただし、冬の冷え込みは日本の同経緯付近の内陸県と比べても全体的に厳しく、なかでも軽井沢・信濃町・志賀高原・菅平高原・八ヶ岳山麓・開田高原・野辺山高原・上高地などの標高が高い地域は通年で北海道並みの気候となります(特に標高の高い場所では北極圏並みの寒さの地域もある)。

夏は、長野市や松本市などの盆地部においては日中の気温は東京とほぼ変わらず、時には猛暑日も観測されるものの、朝晩は涼しく・熱帯夜が観測される日はほとんどありません。

降水量も地域差が大きく、東信地方から北信地方にかけては年間900ミリメートル前後と少ないものの、中信地方から南信地方にかけては年間1,500mmに達することもあります。

最後に、降雪に関しては、北信地方・中信地方・東信地方の一部地域は、豪雪地帯または特別豪雪地帯とされています。

地域によって地形や気候など特色が大きく異なるのも、長野県ならでは特徴といえるでしょう。

長野県の農作物事情

長野県の主な農林水産物は、以下の通りです。

  • 米:気候・風土や技術水準の高さなどから1等米比率は9割を超えており、平年収量も高い(10a当たり平年収量全国1位)
  • セルリー:静岡県と並ぶ2大産地である、5~11月に低温輸送で鮮度を保持して出荷される(収穫量全国1位)
  • レタス:代表的な高原野菜であり、最先端の保冷技術により全国へ出荷される(収穫量全国1位)
  • 白菜:佐久・木曽地域などで栽培され、冷涼な気候により夏場でも品質が高く、秋には一段と柔らかさと甘みが増す(収穫量全国1位)
  • アルストロメリア(切り花類):主な産地は、上伊那地方であり、栽培技術・品種改良により、通年出荷される(出荷量全国1位)
  • カーネーション(切り花類):県内で最も生産量が多い花き品目で、色・形・咲き方などが多彩(出荷量全国1位)
  • ぶどう:「巨峰」は全国有数の生産量を誇り、種なしで皮ごと食べられる「ナガノパープル」は、本県のオリジナル品種である(収穫量全国2位)
  • りんご:県内でもっとも生産量の多い果実であり、「ふじ」を中心に信州生まれのりんご3兄弟(秋映・シナノスイート・シナノゴールド)が好評(収穫量全国2位)
  • ぶなしめじ:人工栽培発祥の地であり、カリウムを多く含み、低カロリーで食物繊維が豊富(生産量全国1位)
  • えのきたけ:全国のえのきたけの約6割を生産しており、県内で数多くの品種が育成されている(生産量全国1位)

農林水産業は、変化に富んだ自然条件や三大都市圏に近い立地条件を活かし、園芸作物・米・きのこ類など多彩な生産がおこなわれています。

水稲の10a当たり平年収量が高く、他にも野菜・果樹・花きなどの園芸作物の生産量はそのほとんどが全国上位に位置しています。

なお、平成28年7月に「市田柿」、平成29年5月に「すんき」が地理的表示(GI)保護制度に登録されました。

また、長野県では「日本一就農しやすい長野県」を目指して、就農希望者などが長野県で農業経営の夢を叶えることができるよう、就農前から就農後の経営が安定するまで、それぞれの習熟度に合わせた経営相談や技術支援を体系的に実施しています。

長野県の野生鳥獣による害獣被害について

広大な自然が広がる長野県にはさまざまな野生動物が生息しており、時に人々の生活圏に入り込み、さまざまな悪影響をもたらすことがあります。

農作物への食害はもちろん、近年は家屋に棲みついて害獣被害をもたらす動物も増加しており、長野県でも被害を軽減できるようさまざまな対策が講じられています。

本章では、長野県の令和5年度の農作物への被害状況や長野県が実施している農作物の鳥獣被害防止対策事業、特に警戒が必要な野生鳥獣についてご紹介します。

令和5年度の農作物への被害状況

長野県のホームページでは「野生鳥獣被害対策本部について」というページにて、野生鳥獣による被害への対策や、農作物への被害額などの公表がされています。

長野県の場合、令和5年度の野生鳥獣による農林業の被害額は約7億9千万円となり、対前年比107.2%とされています。

令和元年~令和5年度の、農業・林業における被害額は、以下の通りです(単位:千円)。

令和元年度令和2年度令和3年度令和4年度令和5年度対前年比
農業499,503495,984476,813480,324538,102112.0%
林業240,387245,907254,739257,688252,90198.1%
739,890741,891731,552738,012791,003107.2%

参考:長野県 野生鳥獣被害対策本部について

上述でご紹介した通り、長野県では広大な自然を活かしてさまざまな農作物が盛んに栽培されていますが、同時に野生鳥獣による農作物への被害も深刻なものとなっています。

次に、令和4・5年度の被害が大きい動物および被害額です(単位:千円)。

シカイノシシクマサルその他獣類鳥類
令和4年度245,69643,989137,52270,47279,501160,832738,012
令和5年度261,86458,425126,35971,162104,325168,868791,003
対前年比106.6%132.8%91.9%101.0%131.2%105.0%107.2%

参考:長野県 野生鳥獣被害対策本部について

獣類のなかではニホンジカによる農林業被害額がもっとも多く、全体の33.1%を占めています。

次点でクマ(ツキノワグマ)とサル(ニホンザル)が続き、ツキノワグマは特に林業被害が、ニホンザルは農業被害が主となっています。

さらに、地域別での被害額は以下の通りです。

佐久上田諏訪上伊那南信州木曽松本北アルプス長野北信
農業73,30473,49933,11759,68761,80613,43773,40113,33397,51938,999
林業5,94268424,8772,338151,01929,23027,679509,4651,617
79,24674,18357,99462,025212,82542,667101,08013,383106,98440,616
対前年比130.1%99.0%112.7%155.7%88.8%195.5%116.7%87.0%100.4%99.3%

参考:長野県 野生鳥獣被害対策本部について

南信州での農林業被害額(特に林業)が特段高く、次いで長野・松本・佐久の順に被害が大きい状況となっています。

農林水産業への被害が甚大なため、今後も徹底した対策を講じる必要があるといえるでしょう。

長野県の鳥獣被害対策に関する補助事業について

長野県では、野生鳥獣への被害に対し、総合的・効果的な対策を推進するため「野生鳥獣被害対策本部」を設置しています。

「野生鳥獣被害対策本部」や「野生鳥獣被害対策支援チーム」、そして現地機関である「野生鳥獣被害対策チーム」「野生鳥獣保護管理対策協議会」など関係部局が連携し、野生鳥獣による人身被害の回避や農林業被害の軽減を図るとともに、人と野生鳥獣の緊張感あるすみ分けの実現を目指しています。

また、自治体によって鳥獣害防護柵に係る補助事業も実施されており、野生鳥獣による農作物被害を防ぐため、地元の防護柵管理団体や農家に対し鳥獣害防護柵に係る補助や支援も実施中です。

たとえば、松本市では以下のようなサポートを受けることができます。

  • 鳥獣被害防止総合対策:集落全体を取り囲むような大規模な侵入防止柵の設置時に、国庫補助を受けておこなう
  • 農作物食害防止事業 :物理柵や電気柵など、野生鳥獣の侵入防止施設設置に必要な資材購入費(工事費は含めない)に対し、2分の1以内の額を助成する
  • 倒木撤去業務委託  :倒木により破損した防護柵を補修するため、作業の支障となる倒木を撤去した際に、市から地元協議会へ委託料を支払う

なお、補助金などのサポートを受けられるのは田畑などへの被害を軽減するためであることが多く、家屋に棲みついた害獣を駆除するために利用した駆除費用に対して補助金が適用されるケースは稀といえます。

詳細は自治体によって異なるため、気になる方は事前にお住いの自治体のホームページなどで確認を取ってみましょう。

農作物への被害で特に注意すべき鳥獣とは?

ここでは、長野県において特に警戒すべき野生鳥獣についてご紹介します。

野生動物の中には、農作物や田畑への被害だけでなく、市街地に出没し地域住民に甚大な被害を与えるものもいるため、その生態や注意点を正しく理解しておくことが重要です。

ニホンジカ

ニホンジカは日本各地でその個体数が増加しており、長野県でも農作物や森林の植物を食べてしまう問題が発生しています。

令和5年度の場合、農業への被害額は約1億6,173円・林業への被害額は約1億円となっており、農業・林業のどちらにも甚大な被害が発生していることがわかるでしょう。

長野県は、リンゴなど果樹栽培やヒノキなどの林業が盛んな県であり、シカはそれらを食害してしまいます。

シカにとっての食事(植物)が少なくなった冬場では、毒草以外の植物や落ち葉を食べ飢えをしのぎ、それでも足りない場合は樹皮(木の皮)を剥いで食べます。

樹皮を剥がれた樹木は枯れてしまうこともあり、シカが増加した森林は枯れ木の多い森へと変化するケースが非常に多いのです。

シカは、自身が生きていくために食べ物を探し、シカにとっては自然の植物も農作物も同じご飯に違いはありません。

しかし、農業や林業を営んでいる方にとっては育てている農作物や木々を食べられることは、大きな問題になります。

現在は、ただシカを駆除するだけでなく、シカの住む森と人間の住む場所に境界線を作り・シカが人間の生活エリアに入ってこないように「棲み分け」をすることで、駆除するだけでなく共存する方法も模索されています。

ツキノワグマ

長野県にはツキノワグマが生息しており、農業・林業への被害はもちろん、人身被害にも十分な警戒が必要です。

まず農林業への被害に関しては、令和5年度は約1億2,636万円とシカの次に多く、農業への被害額は約1,400万円・林業への被害額は約1億1,200万円と林業への被害が甚大となっています。

次に、ツキノワグマの令和6年度の里地での目撃件数ですが、以下のように公表されています。

  • 4月:20
  • 5月:107
  • 6月:347
  • 7月:273
  • 8月:348
  • 9月:203
  • 10月:67
  • 11月:49
  • 人身被害件数(人):12(13)

※人身被害は林内での発生も含む

参考:長野県 長野県のツキノワグマ目撃及び人身被害の状況

目撃情報が多発していることから、長野県にお住いの方はもちろん、旅行などで長野県に訪れる方にも注意が必要です。

特に秋~初冬にかけては冬眠を前にクマがエサを求めて活動範囲を広げる傾向にあり、同時に人間も秋の行楽やキノコ・山菜採りなどを楽しむために山に入るケースが多く、他の時期に比べて遭遇する可能性が高いといえるでしょう。

長野県のホームページでは、ツキノワグマ出没マップや、遭遇しないための対策・遭遇した場合にできることといった情報も公開しているため、ツキノワグマに対する正しい知識を持っておくことが重要といえます。

ニホンザル

長野県の北部に位置する地獄谷野猿公苑は、温泉につかるニホンザルが見られることで有名です。

そもそもサルは古くより人と馴染み深い動物でテレビなどでも目にする機会が多いことから「そこまで害はないのでは?」と感じる方もいるかもしれません。

しかし、野生のサルによる被害は決して軽視できない重要な問題といえます。

まず、農業・林業に関する被害ですが、令和5年であれば約7,100万円ほどの被害額が発生しており、農業への被害額は約6,900万円・林業への被害額は約180万円となっています。

サルは雑食性であり、玉ねぎやトウモロコシなどの野菜・果実・昆虫などを摂食し、時に少しかじっては捨てるといった行動を取ることもあります。

また、野生のサルは市街地へ出没するケースも増加しており、その際は「人慣れ」に注意しなければいけません。

サルは集団で行動することに加え、非常に頭が良く・特に記憶力に優れた動物です。

サルと遭遇した際にエサをあげる人がいるとサルは人への警戒心を緩め、集団で市街地に出没し、家屋への侵入や人間に対する威嚇といった生活被害や人身被害が発生しやすくなるのです。

そのため、野生のサルを見かけても相手にせず無視することが重要といえるでしょう。

地域にお住いの方はある程度サルへの対処を理解している方が多いものの、旅行客などめったに長野県に訪れることがない人だと、サルを見かけた際にエサをあげようとする方もいるかもしれません。

どれだけ地域単位で対策を講じても、エサを与える人がいてはサルの被害を無くすことはできないため、サルの特性を正しく理解しておくことが重要といえるでしょう。

イノシシ

イノシシも、近年日本各地でその生息数が増大・生息域が拡大している動物であり、長野県でもさまざまな被害を発生させています。

長野県の場合、シカ・クマ・サル・イノシシの順に被害が大きく、令和5年度の被害額は約5,843万円です。

また、農業への被害額は約5,703万円・林業への被害額は約140万円と農業への被害額が大きく、特に農家にとって深刻な問題といえるでしょう。

イノシシが農作物へ甚大な被害を発生される理由としては、主に以下が挙げられます。

  • 雑食性で、水稲・いも類・野菜・果樹などさまざまな作物を食害する
  • 畑や田んぼを踏み荒らす(食べもしないのに農作物を引っこ抜くこともある)
  • 水田で泥浴びをする(寄生虫やダニを落とすための「ぬた場」として利用する) など

人里へ下りてきたイノシシによって、人身被害が発生する可能性にも注意しなければいけません。

イノシシは警戒心が強く臆病な性格をしているため、本来昼間に活動するところを、人里へ下りる際は(人間を警戒して)夜間に訪れるケースもあります。

しかし「安全な環境である」と認識してしまうと、警戒心を解いて日中でも人の生活圏へ侵入してくる可能性もあり得るのです。

イノシシの性格上、仮に人と遭遇してもイノシシ側から去っていくことも多いとされていますが、人間側がイノシシを刺激する(大声を出す・走って逃げる・背を向ける・物を投げるなど)、もしくは発情期や分娩後など攻撃的になっている時は、逃げずに襲い掛かってくる可能性も高くなってしまいます。

万が一イノシシと遭遇してしまった際は、イノシシを刺激しないようゆっくりとその場を離れることが重要です。

また、農作物への被害を軽減する際に柵を設置する・耕作放棄地や竹林などの藪を刈り払い、見通しをよくするといった対策をするのも効果的といえるでしょう(同時に人身被害も軽減できる可能性がある)。

自治体によっては、柵を設置する際に補助金を利用できるケースもあるため、お住いの自治体のホームページなどで確認してみるのもおすすめです。

その他獣類

その他の獣類にもさまざまな種類が存在しますが、特に警戒すべきなのは「家屋に棲みつく害獣」です。

家屋に棲みつく害獣は日本の各地で増加しており、たとえばネズミ・イタチ・ハクビシン・アライグマ・タヌキ・テン・アナグマ・コウモリといった哺乳類が挙げられます。

こうした中・小型の害獣は、家や屋根の隙間などから家屋に浸入し、(獣にとって)快適な屋根裏や床下などに巣を作り繁殖してしまいます。

害獣に棲みつかれると、食害・騒音被害・糞尿による悪臭や建物への腐食被害・感染症の発病・建物の劣化といった甚大な被害が発生し、放置するほど個体数が増え被害が拡大していくでしょう。

被害が甚大になるほど、防除や修繕にかかる費用が高額となるため、できるだけ早めにプロの害獣駆除業者へ対処を依頼することが重要です。

鳥類による被害にも注意が必要!

鳥類による農作物への被害も甚大であり、軽視できるものではありません。

「鳥類」と一まとめにされてはいますが、その被害額は令和5年度で約1億6,900万円でシカに次いで第2位に被害が大きいとされているのです。

鳥類のなかで、特に被害が大きいのはカラス・スズメ・ヒヨドリ・ムクドリなどが挙げられるでしょう。

また、カラスのように市街地へ出没し、生ごみを漁ったり・巣を作ったり・大量に集まって大声で鳴いたりといった一般の方への被害も問題視されています。

カラス以外の鳥類は、一般の方からすると害鳥という印象を受けないかもしれませんが、野菜や果樹などの農作物への食害が酷く、農家の方からすれば「農作物を食い荒らす害鳥」として警戒すべき存在と認識されています。

野生鳥獣による被害は自治体やプロの業者へ相談しよう!

まず、田畑など農作物に対して野生鳥獣が被害を与えている場合は、お住いの自治体へ相談すれば適切な対処を受けられる可能性が高いといえます。

条件を満たせば、補助金を活用できる可能性もあるかもしれません。

ただ「家屋に棲みつく害獣を駆除してほしい」という場合は、自治体が駆除に動いてくれる可能性や補助金を活用できる可能性は低いといえるでしょう。

自身で対処するよりも防除費用は高額となる可能性は高いでしょうが、徹底した対策を講じてくれるため、中・長期的に害獣被害に悩まされない環境を作ることができるはずです。

ただし、業者によって防除にかかる費用やサービス内容には大きな違いがあるため、複数社に現地調査や見積もりを依頼したうえで、より自身が安心・納得できる業者を選ぶことが重要です。

自治体によっては、家屋に潜む害獣被害への悩み相談や業者の斡旋といったサポートを実施しているところもあるため、自治体へ相談してみるのもよいでしょう(自治体によってサポート内容が異なるため、事前の確認は必須)。

まとめ

野生鳥獣による被害は全国各地でさまざまに発生しており、長野県でも地域ごとに然るべき対策が講じられていますが、それでも自然界からやってくる野生鳥獣による被害をゼロにすることは至難の業です。

野生鳥獣にもそれぞれの役割があり、ただ「迷惑だから駆除をすればよい」というわけでもなく、今後も人間と野生鳥獣がどのように共生していくかが重要な課題となるでしょう。

また、農作物への被害だけでなく、家屋に棲みつく害獣にも注意が必要です。

一般の方が害獣対策をすることには限界があり、かつ多大な手間をリスクを伴うため、もし実際に被害に遭っている・害獣や痕跡を目撃した場合は、被害が大きくなる前にプロの業者へ対処を依頼することをおすすめします。

関連記事

特集記事

コメント

この記事へのトラックバックはありません。

TOP
CLOSE