市役所はイタチを駆除してくれる?自分でできるイタチ対策も紹介

イタチ

自宅の庭にイタチが出た。とりあえず市役所に言えば駆除してくれるかも

テレビや新聞で「◯◯市の住宅街に出たイノシシを市の職員らが捕獲しました」という報道を見ると「市役所に頼めばイタチもなんとかしてくれるのでは」と思ってしまいますよね。

しかし結論から言うと、市役所は個人の家に出たイタチの駆除は行なってくれません
市役所の本来の仕事は行政に関わることであり、動物を捕まえることではないからです。

学校や駅、住宅街などに野生の動物が現れて人への被害が大きくなりそうなときは、警察と連携して対処にあたることもありますが、あくまでも非常時だけの対応となります。

そのため、自宅に出たイタチの駆除は「自己解決」が基本になることを覚えておきましょう。

とはいえ市役所は何もしてくれないわけではなく、イタチを駆除するためのサポートは行なってくれます

今回の記事では「イタチが出るなんて初めてでどう対応したらいいかわからない」という方のために、市役所がしてくれるサポートと自分でできるイタチ対策について解説しますので、ぜひ最後までお読みください。

イタチ駆除で市役所が行なってくれる3つのサポート

イタチの駆除に関して市役所が行ってくれるサポートは全部で3つあります。
1つずつ順番に見ていきましょう。

市役所のサポート1.イタチ被害の相談の受付

どの市役所にもイタチなどの動物による被害を相談できる窓口があります。

たとえば、

  • 林業振興課
  • 動物管理センター分室
  • 農業支援課

などです。

窓口の名前は市によって変わるため、インターネットで「◯◯市役所 イタチ駆除」と検索してみてください。

また地域によってはイタチ被害の相談は市役所ではなく保健所や都道府県庁が担当していることもあります。

市役所に相談するとイタチを追い払う方法などを教えてくれますが、担当者はイタチ駆除の専門家ではないため、教わった内容が必ずしも自分に合ったものとは限りません

言われたままに行なうと、イタチとは別の被害が発生してしまうこともあります。

たとえば下記はYahoo!知恵袋に投稿された相談です。

クレゾール石けん液を、イタチ駆除のため使用して(市役所からすすめられた)臭いがとれず、喉の痛み、手や唇の痺れが少しでてきて、早急に消臭業者を探しているのですが、 消臭業者に依頼するとある程度匂いはマシになるのでしょうか?
やはり数ヶ月自然になくなるまで待たなくてはならないでしょうか? よろしくお願いします。

Yahoo!知恵袋より

このような事例もあるので、市役所から教わった内容を鵜呑みにせず「自分でよく調べてから行う」という意識が大切です。

市役所のサポート2.イタチの捕獲許可を出す

イタチ被害を市役所に相談すると、被害の状況に応じてイタチを捕獲する許可を出してくれます。

こう言うと「え?イタチを捕獲するのに許可が必要なの?」と思われたかもしれません。

じつはイタチは「鳥獣保護管理法」という法律で保護されている動物で、捕獲・殺傷・飼育する場合は市役所など行政からの許可が必要になります。

そのためイタチが自宅の庭でフンをしたり、床下や屋根裏に侵入されたり、畑の農作物を荒らされたりしても許可がなければ捕まえることすらできないのです。

被害を受けている側から見ると少し理不尽な法律に思えますが、違反時は罰則もあります。
イタチを捕獲したいときは必ず市役所に相談して捕獲の許可をもらいましょう

イタチの捕獲許可の申請は無料でできます。
申請の際は、

  • 捕獲を行う本人が申請書を書く
  • 運転免許証など本人確認書類の提出が必要
  • 郵送やFAXでの申請はできない

などのルールがありますので、担当者に事前に確認してください。

なお申請して許可がおりるまで1~2週間かかるため、いますぐイタチを捕獲したいという方には向かないかもしれません。

市役所のサポート3.イタチ駆除業者の紹介

市役所の担当者に頼めば、市内のイタチ駆除業者を紹介してくれます。

ただし紹介された業者がしっかり対応してくれる優良な業者とは限らず、そもそもイタチ駆除に対応しているか曖昧なこともあるので、実際に依頼するかは自分で調べて判断しなければなりません。

また市によっては、

  • 「とくに紹介はしていないのでタウンページで探してください」
  • 「駆除業者が所属する団体(ペストコントロール協会)を紹介するのでそちらへ相談してください」

と言われることもあります。

イタチの捕獲許可を申請する前に知っておくべき3つの注意点

先ほど「市役所はイタチの捕獲許可を出してくれる」と解説しましたが、じつは申請すれば誰でも許可がもらえるわけではありません。

また捕獲したイタチは最後まで責任をもって処分することが求められます。

ここでは市役所にイタチの捕獲許可を申請する前に知っておくべき注意点を3つ紹介します。

注意点1.狩猟免許をもっていること

イタチの捕獲許可をもらうには「狩猟免許」という専門の免許が必要となります。
狩猟免許がないと原則、捕獲許可の申請はできません。

しかし狩猟免許をとるには、講習を受けて試験に合格しなければならず、さらに都道府県への登録も必要になるなど時間と費用がかかります。

そのため狩猟を趣味にしたいならともかく、自宅に出たイタチを捕獲するためだけに免許をとるのは割に合わないのが現実です。

一方「自宅の庭にイタチがフンをするので困っている」など生活がおびやかされている場合に限り、狩猟免許がなくてもイタチの捕獲許可を出してくれる市もあります

たとえば2024年1月現在では、

  • 大阪市(大阪府)
  • 南あわじ市(兵庫県)
  • 小田原市(神奈川県)

などの市が狩猟免許をもっていなくてもイタチの捕獲許可を出してくれます。
ただし捕獲許可の申請書は提出しなければならないので注意してください。

上記以外の市でも狩猟免許なしで許可がもらえる可能性があるので、まず市役所の担当者に「イタチを捕獲したいが狩猟免許は必要ですか?」と相談してみましょう。

注意点2.捕獲したイタチは自分で処分すること

許可をもらって捕獲したイタチの処分方法は自分で決めて実行しなければなりません。

つまり捕獲したイタチをどう処分するかまで責任をもつ必要があるということです。

捕獲したイタチを無償で引き取ってくれたり、地元の猟友会に処分の代行を依頼してくれたりする市もありますが、基本的に市役所はサポートしてくれません。

捕獲したイタチの処分方法には、

  1. 人家のない山中へ逃がす
  2. 殺処分する

の2つがあります。

イタチを逃がす場合は庭先や近所ではなく、周囲に人家のない山奥まで行って逃がしてください。

殺処分する場合は動物愛護の観点から「安楽死」が推奨されており専用の機器も販売されていますが、3万円~5万円と高額のうえ、生き物を殺すことになるので精神的なハードルも高くなります。

イタチの捕獲許可を申請するときは、最後の処分まで自分でできるかよく考えてから行いましょう。

注意点3.罠は毎日見回りしてイタチ以外の動物はすぐに逃がすこと

市役所から許可をもらって捕獲用の罠を設置すると、イタチ以外の動物がかかってしまうことがあります。

イタチ以外の動物とはたとえば「ハクビシン、アライグマ、のら犬、のら猫」などです。

市役所に「イタチを捕獲する」という内容で申請して許可をもらっているので、もしイタチ以外の動物を捕獲してしまったらすぐに逃がしましょう

逃さずに捕獲したままにすると鳥獣保護管理法や動物愛護法違反になってしまいます。

イタチ以外の動物が誤って罠にかからないよう、最低でも1日1回は必ず見回りを行なってください。

市役所の許可がなくてもできる4つのイタチ対策

法律で保護されていて駆除や捕獲に手続きが必要なイタチですが、傷つけないように追い払うだけなら市役所の許可がなくてもできます

ここではいますぐ自分でできるイタチ対策を4つ紹介します。

イタチ対策1.侵入されないように穴やすき間をふさぐ

イタチは天敵から身を守るため、または安全に子育てをするために床下や屋根裏へ侵入することがあります。

いまは庭にやってくるだけだったとしても、放置すれば侵入されてしまう可能性が高いので侵入口になりそうな穴やすき間をふさいでおきましょう。

イタチの身体は猫のようにやわらかく、

  • 床下換気口
  • 換気扇
  • 配管が外壁や基礎を貫通する部分
  • 屋根と外壁の取り合い部分
  • 基礎と外壁の取り合い部分

などにできた数センチの穴やすき間でも通り抜けてしまいます。

これらの場所に穴やすき間があったら部品を交換したり、パテやコーキングでふさいだりしましょう。

イタチ対策2.エサになりそうなものを片付ける

山地や河川の近くなど自然のなかに住むイタチがわざわざ人家にやってくるのは、エサを手に入れるためです。

イタチは雑食でなんでも食べる動物なので、庭にイタチのエサになりそうなものがあったら、片付けるか食べられないように対策しましょう。

具体的には、

  • 生ゴミが入ったゴミ袋を庭に置かない
  • 廃棄した農作物は放置せず片付ける
  • 家庭菜園や果樹は収穫するか園芸用ネットで覆う

などです。

またイタチはニワトリを襲って食べてしまうこともあるので、飼育小屋の補強もしておきましょう。

イタチ対策3.苦手なにおいで寄りつかせない

イタチは嗅覚が優れているので強いにおいが苦手です。

そこで、

  • 木酢液(もくさくえき)
  • クレゾール石鹸液
  • 漂白剤
  • お酢

など、においが強い液体を水で薄めて散布しておけばイタチが寄りつきにくくなります。
においが薄まると効果が半減するため定期的に散布しましょう。

木酢液やクレゾール石鹸液はホームセンターやインターネット通販で購入できますが、においがとても強いので量を調節しながら使用してください。(※木酢液はスモークチーズのようなにおい、クレゾール石鹸液は病院のようなツンとしたにおいです)

もし自分で作るのが面倒な場合は、

  • ワサビやトウガラシを使った忌避剤
  • オオカミの尿を使った忌避剤
  • 獣避け線香

などを購入するのもおすすめです。

なお忌避剤や獣避け線香を使う場合は、においや煙で近隣の家に迷惑をかけないよう注意するとともに、イタチがにおいに慣れてしまうと効果がなくなることも覚えておきましょう。

イタチ対策4.強い光や超音波で追い払う

イタチは夜行性なので強い光が苦手です。
そのためイタチが近づくと点灯するセンサーライトで驚かせて追い払うこともできます。

またイタチなどの動物を超音波で追い払う機器を使うのもいいでしょう。
いきなり機器を購入するのに抵抗がある場合は、無料で使えるスマホ用の超音波アプリがおすすめです。

ただし忌避剤と同じく、光や超音波にイタチが慣れてしまうと効かなくなってしまうので、効果は一時的と考えてください。

まとめ

最後に今回の記事の内容をまとめておきましょう。

まず市役所は個人の家に出たイタチの駆除は行なってくれません

そのため市役所が行なってくれる3つのサポート、

  1. イタチ被害の相談の受付
  2. イタチの捕獲許可を出す
  3. イタチ駆除業者の紹介

を活用して自己解決するのが基本ですが、許可をもらって自力で捕獲する場合、捕獲したイタチの処分まで責任を負う必要があります。

また忌避剤を使ってイタチを追い出すだけなら市役所の許可は不要ですが、イタチがにおいに慣れてしまうと効果がなくなるため根本的な解決策になりません。

もし市役所のサポートや自力での対策に限界を感じたら、早めにイタチ駆除の専門家に依頼しましょう。

当サイト(害獣駆除ガイド)を運営する「日本有害鳥獣駆除・防除管理協会」でもイタチ被害の相談を受け付けていますので、お困りの際は一度お問い合わせください。

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