「シロアリ」は、住宅の木材を食べることで有名な害虫です。
放置しておくと被害は深刻化し、家屋や住民に多大な被害を与えるだけでなく、修繕費用も割高となってしまいます。
本記事では、シロアリを駆除する効果的な方法、棲みつく兆候や注意点を解説します。
シロアリの被害にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
「シロアリ」とはどのような害虫か?
本章では、まずシロアリの生態についてご紹介します。
シロアリにもいくつかの種類があり、放置するほど数が膨大となり被害は深刻化します。
「発見したときには時すでに遅し」ということがないよう、その特徴を正しく理解しておきましょう。
シロアリの生態
名称に「アリ」と付いていますが、シロアリはアリとはまったく関係のない「ゴキブリ目シロアリ科」に属する昆虫です。
基本的に1つの巣に王と女王が一匹ずつ存在し、女王だけが卵を産みます。
シロアリのもっとも問題視されるのは「繁殖力」であり、1つの巣に数万から数百万匹が生息するといわれています。
また、巣(コロニー)が大きくなるといくらかの個体が羽アリとなって巣を飛び立ち、雄と雌がペアとなって別の場所に新しい巣を作ります。
繁殖力が凄まじいため、個体数が多くなるほど建物への被害は甚大なものとなるでしょう。
ゴキブリと同じく「一匹いたら……」と考え、見つけ次第早急に駆除する必要があるといえます。
シロアリは「益虫」でもある
ゴキブリ類と聞くとより「害虫」のイメージが強くなりますが、シロアリは自然界にとって、なくてはならない「益虫」でもあります。
「益虫」とは、なんらかの形で人間の生活に役立ち・恩恵をもたらす昆虫のことです。
シロアリの特徴は木材を食べることであり、本来は倒木などの枯れた植物を分解し、土に還すという役割があります。
自然界のなかで重要な役割を担っており、地球にとってなくてはならない昆虫といえるでしょう。
しかし、家屋に棲みつくと甚大な被害をもたらすため、益虫とはいえ放置しておくわけにはいきません。
シロアリの種類
シロアリの種類は意外と多く、日本に生息しているシロアリだけでも20種類を超えます。
このうち、家屋に被害をおよぼすシロアリは5種類いるとされ、とくに「イエシロアリ」と「ヤマトシロアリ」が主要となるでしょう。
それぞれの特徴は、主に以下が挙げられます。
【イエシロアリの特徴】
- 体長 :12~16mm(翅を含む)
- 羽アリの見た目:体は黄褐色・羽は乳白色または淡黄色をしている
- 兵アリの見た目:「卵型」の頭をしている
- 主な生息場所 :屋根裏、床下、地下など
- コロニー :大きな塊の巣をつくる
【ヤマトシロアリの特徴】
- 体長 :7~10mm(翅を含む)
- 羽アリの見た目:体は黒褐色・前胸背板は黄色・羽は淡い黒色をしている
- 兵アリの見た目:「長方形」の頭をしている
- 主な生息場所 :水回りの床下(浴室・トイレ・台所など)、朽ち木・湿って腐りかけた木材など
- コロニー :餌場が巣を兼ねている
ただし、アリそのものが非常に小さく・凝視することもほぼないため、一般の方がイエシロアリかヤマトシロアリかを判別することは至難の業です。
いずれにせよ、どちらのシロアリも放っておけば建物に甚大な被害をおよぼすため、見つけたら早急に対処する必要があるといえるでしょう。
クロアリとの違い
名前や見た目こそ似ているものの、シロアリとクロアリはまったく異なる生物と理解しておきましょう。
端的に違いを表現すると「建物の木材を食べるのがシロアリ」「住居のなかの食材を運び出すのがクロアリ」です。
また、よく見ると見た目にも違いがあります。
【シロアリ】
- 触角は球体がまっすぐ連なっている
- 胴体は寸胴
- 4枚の羽を持ち、前後の大きさがほぼ同じで羽が取れやすい
【クロアリ】
- 触角はL字型
- 胴体にはくびれがある
- 4枚の羽を持ち、前に比べて後ろの羽が小さい
そもそも生物分類上は「シロアリ=ゴキブリ類」であり「クロアリはハチの仲間」となります。
なお、クロアリはシロアリを捕食するため、シロアリにとってクロアリは天敵です。
シロアリによる被害について
シロアリの特徴は「木材を食べること」です。
家屋に棲みつくと、住まいの土台や柱などの木部を食べて、家の強度や寿命を著しく低下させます。
上述で挙げた通り、日本で主要となるのは「イエシロアリ」と「ヤマトシロアリ」であり、それぞれで被害内容に違いがみられます。
イエシロアリは、古材よりも新材を好む傾向にあります。
また、繁殖力が強く・食欲旺盛であること、餌場自体を巣として餌場の環境が悪くなると巣ごと移動するという習性があるため、放っておくと幅広い範囲に被害がおよぶことになるでしょう。
ヤマトシロアリは、湿った木材を食べて栄養・水分を摂取するため、とくに湿気の多い場所(浴室・トイレ・台所の床下など)に被害が集中しやすくなります。
さらに水漏れや雨漏れがあるとその箇所まで登り、木部を食べることもあります。
このように、シロアリの種類によって被害状況や規模は異なるため、注意が必要です。
また、近年日本では外来種も増えており、アメリカカンザイシロアリのように小屋組材まで食べてしまうケースもあります。
シロアリが棲みつく兆候とは?
本章では、シロアリが棲みつく兆候をご紹介します。
シロアリのサイズは非常に小さく見つけづらいこと、また床下・屋根裏・木材のなかなど普段見えない場所に巣を作るため「気づいたときには手遅れだった……」というケースもあります。
兆候を把握することで、被害を最小限に抑えられるかもしれません。
「蟻道」がある
蟻道(ぎどう)とは、土でできた細長い道のことです。
シロアリは、床下・天井裏・水回りなど湿気の多い場所を中心として蟻道を作ります。
たとえば、床下に作られた蟻道の場合、地面から家の土台に沿うよう木材が繋がっていたり、木材から地面にかけてヒモが垂れ下がるような形で作られています。
この蟻道をほんの少しつついて崩すと、なかからシロアリがでてくる可能性があります。
もしもシロアリが確認できた場合、現在進行形で食害されていることになるでしょう。
いずれにせよ、蟻道を発見したら早急に対処する必要があるといえます。
羽アリを見た・羽が落ちている
シロアリは一つの巣が成熟し、巣のなかにシロアリが増えると、繁殖の役割を担う個体が羽をつけ巣から飛び立ちます。
この羽アリは、春〜夏の暖かい時期に巣を飛び立つため、一度に大量に見かけることがほとんどです。
また、移動距離は長くても数百メートルほどであり、そこまで遠くへ移動することはありません。
そのため、もし周辺で羽アリを複数発見した場合は、周辺に巣を作って潜んでいる可能性が高いといえます。
加えて、羽アリは「羽が落ちやすい」ため、もしも家の周辺や家屋内に羽がたくさん散っている場合、こちらも近くに巣がある可能性が高いといえるでしょう。
クロアリをよく見かける
クロアリにとってシロアリは捕食対象のため、クロアリを多く見かける際は近くにシロアリが繁殖している可能性があるかもしれません。
必ずしも「クロアリがいれば、近くにシロアリもいる」というわけではありませんが、念のため自身でできる対策を施すか、害虫駆除業者に現地調査を依頼するといいでしょう。
床がきしむ・壁や柱から空洞音がする
シロアリがいる建物は、床がきしんだり、壁や柱から空洞音がすることがあります。
これはシロアリによって木部が食べられ、木材のなかに空洞ができてスカスカとなるからです。
「床が浮いている感じがする」「床がギシギシときしむ」「壁を叩くと一部分だけ空洞音がする」といった場合は、シロアリの食害が発生していると考えましょう。
シロアリ対策は自分でできる?
本章では、自身でシロアリ対策をする方法と注意点をご紹介します。
自身で対策を講じることも可能ではありますが、慣れていない人がおこなうと被害が悪化する恐れがあるため、不安な方は専門業者に依頼することも検討しましょう。
まずは被害箇所を確認しよう
上述でもご紹介した通り、シロアリが棲みついた際はその形跡を確認できます。
その形跡をチェックしながら、まずは被害箇所を把握することからはじめてみましょう。
シロアリは、湿気が高くジメジメしたところを好む習性があります。
浴室・トイレ・キッチンなどの水周り、日が当たらない・風通しの悪い場所(屋根裏や床下など)、エアコンの室外機や雨どいの水が直接地面に流れている場所など、シロアリが生息しやすい箇所を確認してみましょう。
また、樹木の添え木・木の柵を設置している場所など、外周環境にもシロアリが潜んでいる可能性があります。
「蟻道」「羽アリ(の羽)」「空洞音」「床のきしむ音」などを参考にして、チェックを進めていきましょう。
市販のシロアリ専用薬剤を使用する
自身でシロアリを駆除する際は、必ず市販の「シロアリ駆除専用の薬剤」を使用してください。
駆除剤は、成分の違いによっていくつかの種類があり、選ぶ際は以下の3つを参考にしてみましょう。
- 遅効性の薬剤 :効果がでるスピードが遅い
- 伝搬性の薬剤 :薬剤の成分が別のシロアリにも移る
- 非忌避性の薬剤:シロアリが好む成分が含まれている
巣のなかにいるシロアリまで丸ごと駆除する一番の方法は「シロアリの好きな成分が含まれた薬剤を食べさせる」または「体に付けさせて、巣のなかに持ち帰らせること」です。
表に出ているシロアリを駆除しても、巣のなかの大量のシロアリを完全に駆除しなければ問題は解決しません。
そのため、即効性の高い薬剤よりも「ベイト剤」と呼ばれる置き毒餌や、吹き付けてもシロアリが逃げない薬剤を選ぶといいでしょう。
また、シロアリはグルーミング(お互いの体を舐め合う)をする習性があるため、体に薬剤が付着したシロアリが巣に帰ることで、薬剤の効果が巣のなかにも拡散していきます。
予防を徹底する
家屋内に潜むシロアリを駆除できても、シロアリが好む環境を改善しない限りは再度被害が発生する恐れがあります。
薬剤を設置することはもちろん、以下のような工夫をしてみましょう。
- 適度に喚起をする
- 建物周辺に植物や木材、ダンボールなどを置かない
- 定期的に建物を修繕する
シロアリ対策をおこなう際の注意点
この項目では、シロアリ対策を自身でおこなう際の注意点をご紹介します。
「殺虫剤」は使用しない
虫だからといって、やみくもに殺虫剤を使用するのは厳禁です。
その理由は「シロアリは警戒心が強く、殺虫剤を散布することで周囲のシロアリが逃げてしまう」ことが挙げられます。
逃げたシロアリがその先で新たに巣を作る恐れがあるため、余計に駆除しづらくなったり被害が拡大する可能性が高まるでしょう。
目の前のシロアリを早急に駆除したい場合は、掃除機で吸い取るといいでしょう。
シロアリは弱い生き物であり、掃除機で吸い上げた際の衝撃だけで命を落としてしまいます。
吸い上げたシロアリは、そのままゴミとして素早く処理しましょう。
むやみに巣を壊さない
シロアリの巣を見つけても、やみくもに巣を壊さないようにしましょう。
シロアリは巣のなかで集団で生息する虫であり、下手に巣を壊すと巣のなかのシロアリが周囲に逃げてしまいます。
分散したシロアリは元の巣に戻らず別の場所で新たな巣を作るため、余計に被害が拡大する恐れもあるでしょう。
ただし、シロアリの巣は放置しても自然消滅することはありません。
駆除する際はシロアリ・巣のすべてを一網打尽にする必要があるため、できればシロアリの生態に詳しい専門業者に依頼するのがベストといえるでしょう。
防護を徹底し駆除をおこなう
シロアリを駆除する際は、薬剤を扱ってしまう恐れや、屋根裏や床下など普段足を踏み入れない場所で作業をすることとなります。
シロアリ以外の害虫や害獣と出くわす可能性もあるため、防護をしっかりおこなったうえで作業を進めましょう。
- ゴーグル
- 作業服(厚手の長袖・長ズボン)
- マスク
- ヘッドライトや懐中電灯 など
万が一の事態に備えて、携帯電話も所持しておくといいかもしれません。
どの薬剤を使用するかは事前に要検討
シロアリの種類によって、使用する薬剤や駆除方法は異なるため、駆除剤を購入する前に発生したシロアリの種類を確認できればベストです。
なお、シロアリ対策に使用する薬剤は、国が指定する基準に合わせて希釈して使用されます(人体に影響が出ないよう薄めて使用する)。
また、非常に有害な薬剤の使用はすでに禁止されており、健康面に配慮した商品も開発され続けているため、薬剤を購入する際にそこまでシビアに考える必要はないといえます。
しかし、小さなお子さんやペットと一緒に住んでいる方は「本当に薬剤を使用して大丈夫?」と不安を感じるかもしれません。
その場合は、薬剤を使用する前にシロアリ駆除の専門業者に相談してみるといいでしょう。
相談・現地調査・見積もりは無料でおこなってくれる業者も多いため、状況を把握したうえで効果的な対策を施してみましょう。
シロアリの駆除・対策は害虫駆除業者に依頼しよう
不慣れな方がシロアリや巣の全貌を把握し対処することは難しく、自己判断で一部を駆除した結果、逆に巣が拡大し被害が深刻化するケースもあります。
そのため、家屋内に棲みつくシロアリを巣ごと壊滅させるには、シロアリの生態に詳しい専門業者に依頼することが一番といえます。
【シロアリ専門の駆除業者に依頼するメリット】
- シロアリ・巣を徹底的に駆除してくれる
- 散布するべき場所に薬剤を散布し、効果的な対策を施してくれる
- 侵入場所を特定し、再発防止を徹底してくれる
- 被害に遭った建物の修繕もおこなってくれる
- 被害に遭わないためのアドバイスをしてくれる
- アフターフォローが万全であれば、再発時にも安心できる など
自身で薬剤を使って対処するよりも費用は高くなりますが、業者に依頼すれば「シロアリに悩まされることのない環境作り」を実現できるでしょう。
害虫駆除業者は全国各地さまざまにあるため、近隣の駆除業者を調べ、できるだけ複数の業者に見積もりを依頼して「自身が納得・安心して依頼できる業者」を探してみましょう。
まとめ
シロアリは人の手の届かない場所で活動することが多いため、見つけづらく・発見したときには被害が深刻化しているケースもあります。
放置するほどに被害は拡大していくため「シロアリを発見した」または「なにかしらの違和感を感じる」という方は、早めの対処を実施することをおすすめします。
また、不慣れが方がシロアリを完全に駆除することは難しいため、できるだけ早い段階でシロアリ駆除の専門業者に相談してみるといいでしょう。
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