家屋の中や周辺で、白蟻・羽蟻・大量の翅などを目撃した場合、付近で白蟻が発生しているかもしれません。
もし、家の周辺で巣を作り繁殖していた場合、お住いの建物が被害に遭う可能性は高いでしょう。
本記事では、白蟻が巣を作っている際に見られる症状や巣の特徴、白蟻を見つけた際の対処法などをご紹介します。
白蟻は人の目の届かないところに巣を作り、気づいたときには被害が拡大しているケースも多いため、対処法を理解しできるだけ早期に防除を実施することをおすすめします。
目次
タイプごとに解説!白蟻の巣の特徴と見つけ方
日本には数多くの白蟻が生息していますが、そのなかでも木材を食害し家屋に被害を与えるのは「ヤマトシロアリ」「イエシロアリ」「アメリカカンザイシロアリ」の3種が挙げられます。
本章では、それぞれの巣の特徴や見つけ方についてご紹介します。
白蟻の個体数が多いほど被害範囲も拡大するため、見つけ次第早めに対処することが重要です。
ヤマトシロアリ
ヤマトシロアリは、ヤマトシロアリ属というグループに含まれる一種であり、日本でもっとも広範囲に見られる代表的な白蟻です。
日本の住宅においてもっとも被害件数が多いのがヤマトシロアリといわれており、調査によると白蟻被害全体の9割以上を占めているといわれています。
ヤマトシロアリは、暗く・ジメジメした空間を好み、以下のような場所に巣を作る傾向があります。
【家の中】
- 床下
- 浴室
- 玄関 など
【家の外】
- 庭の朽ち木
- 古いウッドデッキ など
巣は比較的小さく、かつ水分を確保しやすい箇所(床下や一階部分など)に巣を作るケースが多いとされています。
ただし、雨漏り・水漏れが酷い場合は、屋根裏や天井裏にも巣を作ることがあります。
イエシロアリ
イエシロアリは、ヤマトシロアリと同じく日本の代表種として有名であり、特に西日本エリアなど暖かい箇所に生息することが多い生き物です。
イエシロアリは地中に巣をつくり、そこから地中以外を含めさまざまな場所に巣を分岐させるため、特に本巣を見つけるのは困難といえるでしょう。
食害を受けた部分の壁・天井を剥がすと巣が見つかることが多く、天井や小屋根といった広い空間では球体状の巣を発見することもあります。
イエシロアリの巣のサイズは大きいもので直径1mにおよび、コロニー(巣)内の個体数は100万匹に達することもあるとされています。
食害のスピードも早く、特に家への被害が拡大しやすいため注意が必要です。
アメリカカンザイシロアリ
アメリカカンザイシロアリは、乾いた木材のなかにある僅かな水分で生育できる白蟻です。
「アメリカ」という名称がつく通り、元々日本には存在しない種でしたが、木材や家具の輸入によって運び込まれました。
土の中に巣をつくるヤマトシロアリ・イエシロアリと違い、加害した木の中に巣(孔道)をつくり、蟻道や蟻土を作らないという特徴があります。
また、温度変化や環境湿度の影響を受けにくいようです。
上記の通り、アメリカカンザイシロアリは被害箇所の周辺に巣を作るケースが多く、巣の近くに糞を落とす習性があります。
「糞口」と呼ばれる糞を木材の外に排出する際にできた穴を見つけることができれば、本巣にたどり着ける可能性はあるでしょう。
ただし、発生しやすい場所は定まっていないため、他の白蟻に比べて巣の場所が特定しづらいとされています。
白蟻の巣は大きく2つのタイプに分類される
日本における白蟻の巣は、大きく「食べた場所をそのまま巣にするタイプ」と「地中に巣を作るタイプ」の2つに分類されます。
(日本には生息していないが、地上に土を盛り上げて塚を作り巣にするタイプもいる)
本章では、各白蟻の巣の特徴をご紹介しましょう。
食べた場所をそのまま巣にするタイプ
特定の巣を自分で作らずに、エサとなる木材を食べた際にできる空間をそのまま巣として利用します。
ヤマトシロアリやアメリカカンザイシロアリが、このタイプの巣を作ることが多いでしょう。
建物の建材などを食べる際は、土の下にある本巣から「蟻道」(ぎどう)と呼ばれる土のトンネルを伸ばし、エサ場まで移動することが特徴に挙げられます。
地中に巣を作るタイプ
こちらは、エサとなる木材とは別の場所に巣を作るタイプであり、イエシロアリがこのタイプの巣を作る代表格とされています。
巣の表面側は比較的脆く・触れれば割れてしまうほどですが、中心にいくほどその強度は増していきます。
なお、餌となる木材が本巣に近い場合であれば本巣から蟻道を伸ばして食べに行きますが、距離が離れているときは分巣を作り経由地とするようです。
水の確保さえできれば、壁の中でも小屋裏の中でもお構いなしに巣を作っていくため、注意が必要です。
白蟻の巣の構造について
白蟻の巣は土の中に存在し、本巣と呼ばれる大きなコロニー(巣)から、建物のあらゆる木材(エサ場)に経路が伸びています。
(本巣からエサ場までの距離が離れている場合は、経由地として分巣を作ることもある)
巣はコロニーにいる白蟻の数によって規模や深さが異なり、基本的には地中1mほどの深さをスタートラインとし、巣の拡大に伴ってどんどん地中深くへ進出していきます。
また、白蟻の通り道となる「蟻道」は、エサや水を運ぶために巣から他方に伸びており、シロアリの数が多い・巣が複数ある・複数の巣からさらに近隣に巣が広がっているなど、状況によっては100m以上の長さになることもあるでしょう。
白蟻は全長数mm程度の小さな生き物であり、コンクリートと木材の小さな隙間からいともたやすく侵入してきます。
シロアリは眼が退化している代わりに、触角を使ったり・家をかじったりして、細かい家の隙間や亀裂を見つけ出すことにも長けています。
要注意!白蟻が巣を作っている兆候について
白蟻は人の目に見えない場所で生息していることがほとんどであり、白蟻を見つけたときは「すでに被害が進行している」と考えておかなくてはいけません。
ただし、目にすることがなくても、白蟻の侵入を察知することは可能です。
本章では、白蟻が巣を作っている兆候をいくつかご紹介します。
壁や柱を叩くと空洞音がする
通常の建材は中身が詰まっているため、叩いたときに重い音がします。
しかし、白蟻によって建材が食べられていると、内部が空洞になり「ポコポコ」といった軽い音がします。
白蟻の被害を危惧されるからは、壁や柱を叩き、どのような音がするかを確認してみましょう。
もし床下や屋根裏など自身で確認しづらい場所であれば、専門業者に点検をお願いするとよいでしょう。
床や畳を歩くと沈む・軋む
白蟻は、木材だけでなく畳の芯に使用されている藁も好みます。
畳の上を歩いた際に「沈んだり軋んだりする」もしくは「フワフワした感触がある」という場合は、藁や畳下の木材部分が食害されているかもしれません。
まずは、畳を外して「畳の裏側や畳下板に蟻土がないか」を確認してみましょう。
※蟻土:白蟻が生息環境を整えるために土や唾液などを混ぜて作ったもの
蟻土が見られる場合は、ほかの場所にも食害が広がっているケースが多いため注意が必要です。
建材が変色している
白蟻は日陰かつ湿度が高い場所を好み、水分を含んだ木材をエサとすることが多い生き物です。
たとえば、キッチン・浴室などの水回りは湿気が多いため、白蟻が集まりやすい環境といえるでしょう。
特に浴室の床下は湿気が溜まりやすく、白蟻の被害によって建材が変色してしまうケースも見られます。
また、雨漏りや水漏れしている箇所も白蟻が集まりやすい環境となるため、発見次第早期に修繕をおこないましょう。
「蟻道」を発見した
白蟻は直射日光や風を苦手とするため、基本的に土の中に道を作って目的地まで移動します。
この、移動の際にできるトンネルのようなものを「蟻道」といいます(木材だけでなくコンクリートにも蟻道を作る)。
蟻道の近くには白蟻の巣がある可能性が高いため、家の外周を見て、基礎や外壁に土の塊のようなものがないかをチェックしてみましょう。
羽蟻または大量の翅が落ちている
白蟻は土の中に巣を作り生活するため、基本的に人が白蟻を目にすることはそうはありません。
しかし、巣の中にいる白蟻の個体数が多くなると「羽蟻」となって巣を飛び立ち、別の箇所で新たなコロニーを形成し繁殖します。
種類によって多少の違いがあるものの、おおよそ春~夏(4月~7月)ごろに群飛することが多いでしょう。
また、羽蟻はさほど長距離を飛ぶことができず、翅が落ちやすいという特徴もあります。
「羽蟻が大量発生している」または「大量の翅が落ちている」という場合は、付近に白蟻が巣を作っている証明となるため、早急に対処を実施すべきといえるでしょう。
白蟻や巣を防除する方法とは?
白蟻の被害を放置すると建物に深刻な被害を与えるため、発見次第早急に対処しなければいけません。
本章では、白蟻や巣を防除する方法についてご紹介します。
自身で対処する方法
白蟻を目視できた場合は、以下の方法で簡単に退治できます。
- 掃除機で吸引する
- 粘着テープで捕獲する
なお、自身で白蟻駆除をおこなう際は、絶対に「殺虫スプレーを使用しない」ようにしましょう。
退治しきれなかった白蟻が逃げて分散し、被害の範囲を広げる恐れがあるからです。
白蟻や巣を駆除するための薬剤も多く市販されているため、それらを活用して防除するのもよいでしょう。
ただし、人の目に見えない場所で活動することが多い白蟻や巣を見つけ出し、駆除することは素人には困難です。
白蟻や羽蟻を目にするということは、すでに白蟻が付近にいることの証明となり、見えないところで大量に繁殖している可能性も高いでしょう。
こうなると市販の薬剤だけで対処することは難しいため、被害が甚大なものとなる前にプロの業者に対処を依頼することをおすすめします。
白蟻の防除はプロに依頼するのがおすすめ
専門的な知識や技術がないと、白蟻を防除することは困難です。
素人が下手に対処すると手間やリスクが発生するだけでなく、返って被害が拡大する恐れがあるため、基本的にはプロの業者に相談することをおすすめします。
被害が深刻なほど、駆除や修繕にかかる費用が高額になるため、白蟻や痕跡を発見した際の駆除はもちろん、定期的な点検も必須といえます。
点検を依頼する際の期間は、薬剤の効果が切れる可能性が高い5年ほどを目安にするとよいでしょう。
(毒エサを用いるベイト工法の場合は、ベイト剤の補充のため年に1回ほど点検をおこなう必要がある)
業者によって、防除費用やサービス・保証内容には違いがあるため、複数の業者に現地調査・見積もりを依頼し、しっかりと比較検討したうえで依頼すべき業者を決定してください。
白蟻の巣に関するよくある質問
本章では、白蟻の巣に関するよくある質問をご紹介します。
白蟻の巣を見つけたらどうしたらよい?
白蟻の巣は土の中にあるため、土を掘り返さないでもしない限り目にすることはほぼありません。
ただし、蟻道など白蟻の痕跡を見つけることは可能です。
家の周囲を観察し、痕跡らしきものを発見したら早めに対処を実施しましょう。
素人の場合、予防はできても徹底駆除をすることは至難の業であるため、基本的にはプロの業者に相談することをおすすめします。
なお、自身でできる白蟻の予防法としては、以下が挙げられます。
- 木材を置きっぱなしにしない
- 日当たりや風通しをよくする
- 雨漏れ・水漏れをチェックする
- 防除剤や木材防腐剤を利用する など
白蟻にとって棲みにくい環境を作ることで、いくらか被害を軽減することができるでしょう。
白蟻の巣を放置しておくとどうなるの?
白蟻は木材を食すため、被害を放置し続けると床下の柱や木材部分が劣化し、建物の耐久性が下がってしまいます。
日本は地震の発生率も高いため、耐久性が下がった家をそのままにしておくと下手をすれば倒壊する危険性すらあるでしょう。
また、白蟻の被害によって耐久性や耐震性が下がってしまうと、欠陥住宅と見なされ資産価値が下がります。
その結果、売却価格が下がったり、買い手が見つかりにくくなったりする原因にもつながるでしょう。
被害が深刻化した状態で駆除を依頼すると駆除や修繕費用も高額となり、費用負担も増大します。
大切な家を守るためにも、定期的な点検を業者に依頼し、白蟻の被害を未然に防ぐことが重要です。
土が盛り上がっているのは白蟻の巣があるから?
土が盛り上がっている場合、蜂やモグラなど他の生き物の巣である可能性が高いでしょう。
日本に生息する白蟻は、地表から1mほど深い場所に巣を作ります。
そもそも白蟻は数mm程度の小さな虫のため、巣がある場所の土が盛り上がることはほとんどありません。
このことから、土がこんもりと盛り上がった場所には、ツチバチやモグラなど他の生き物が巣を作っている可能性が高いといえます。
なお、日本でもっとも危険なスズメバチといわれる「オオススメバチ」も、土の中に巣を作ります。
巣を踏んでしまうと、中から蜂が飛びかかり・毒針で刺してくる可能性があるため、盛り上がった土にはうかつに近づかないようご注意ください。
早急に、害虫・害獣駆除業者に相談しましょう。
木材にポツポツと穴が空いているのは白蟻の仕業?
積んであった木材・切り株・杭などに、ポツポツと細かい穴が空いていることがあります。
この場合は中に虫が潜んでいる可能性が高いため、ノズルの細い注入タイプの薬剤を流し入れるのが効果的です。
ただし、原因となった虫はかならずしも白蟻とは限りません。
たとえば、クマバチ・カミキリムシ・クワガタの一種などは、木に穴を開けて中に入り込み、おがくずを押し出して巣を作ります。
下手に対処すると危険なケースもあるため、業者に相談し、中にいる虫の種類を調べてもらったほうが安心といえるでしょう。
まとめ
白蟻は土の中に巣を作ることが基本であり、(羽蟻を除き)白蟻を目にする機会はそうはありません。
しかし、目に見えないところで被害が拡大しているケースもあるため、家の周囲を回り痕跡がないかをチェックしてみましょう。
放置するほど被害は深刻化し、駆除・修繕費用が高額となるため、定期点検も含め、早めにプロの業者に相談することをおすすめします。
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