アライグマは、外見だけで判断すると非常に可愛らしい動物です。
ふさふさとした毛並・縞々のしっぽ・可愛らしい顔立ちなど…見た目の可愛らしさから、一時期メディアやアニメでも取沙汰されたこともあります。
しかし、見た目に反して獰猛な性格をしていること、現在は法律により規制されていることから、ペットとして飼うことはおろか、無許可で捕獲・駆除することもできません。
本記事では、アライグマの性格を含め、その被害や対処法についてご紹介します。
目次
アライグマは人に懐くの?その性格を解説!
一見するとおとなしそうなイメージを持つアライグマですが、実際は人に懐く可能性は非常に低いといわれています。
本章では、その性格についてご紹介します。
成長とともに気性は荒くなる
アライグマは、幼いときはおとなしく可愛らしかったとしても「成長とともに気性が荒くなり、獰猛な性格」となります。
体長は60~100cmほど(なかには140cmを超えるタイプも存在する)であり、身体が大きな個体ほど気性が荒く攻撃的な性格をしているといわれています。
とくに威嚇モード時は、人間など自身よりはるかに大きな生き物にも臆することなく向かってくる恐れがあるため、より警戒が必要です。
見た目の可愛さに惑わされて下手に接近すると、攻撃されて怪我を負い、そこから感染症など発病する恐れがあるため、見つけても不用意に接近しないことが無難といえるでしょう。
現在はペットとして飼うことはできない
アライグマは本来「日本には生息しない外来種」でしたが、飼育目的などで日本に大量輸入されました。
しかし、その性格ゆえに「飼育しきれず放棄する人」や「動物園などから脱走するもの」が増加し、その結果日本でも野生化が進み・増殖し、害獣として認識されるようになりました。
現在は「外来生物法」によって、許可なく捕獲・駆除・飼育・輸入などができません(特定外来生物に指定されている)。
そもそも、その性格ゆえにペットとして飼うことも難しいため、仮に見かけても安易な接触は避け、できるだけ早くプロに対処をお願いしましょう。
アライグマの特徴
ここでは、アライグマの特徴を解説します。
害獣にもさまざまな種類がいるため、特徴を理解し、適切な対処を講じてみましょう。
見た目の特徴
体長は60~10cmほど(なかには140cmを超える大型もいる)で、尻尾の長さは20~40cm、体重は2~10kg程度といわれています。
見た目の特徴としては、以下が挙げられます。
- 毛色は灰色~明るい赤褐色
- 目の周辺に明確な黒いマスク模様がある
- 耳のフチが白い
- 前足・後ろ足ともに5本指で、指が長く・指と手のひらがくっついた状態で足跡が残る など
似た動物としては、タヌキやハクビシンなどが挙げられますが、顔にある黒模様・尻尾・鳴き声などである程度判別できます。
とはいえ、素人がその違いを瞬時に判別することは難しいといえるでしょう。
生態の特徴
生態の特徴としては、以下が挙げられます。
- 夜行性で夕暮れから朝方にかけて活発に行動する
- 木登りや泳ぎが得意で、多少の障害物は蹴破って侵入できる
- 手先(とくに前足)が器用で、ゴミ箱やドアを開けることができる
- 餌となるものが多いほど、活動範囲は狭まる
- 「餌が豊富」と判断した場所からはそう簡単に離れない
- 決まった箇所に糞尿をする習性がある など
アライグマは、一度棲みつくとそう簡単に住処から離れません。
また、決まった箇所に糞尿をする習性があり、悪臭による健康被害や建物への腐敗が拡がる恐れもあります。
総じて「運動神経の高さ」と「学習能力の高さ」が災いし、放置するほどにその被害は深刻化していくでしょう。
どんな被害をもたらすのか?
本章では、具体的な被害内容について解説します。
敷地内に棲みつかれると非常に厄介なため、存在を認識次第、早急に対処しましょう。
農業・畜産・水産業への被害
アライグマは雑食性であり、そのなかでもとくに甘いものを好む傾向にあります。
人間が育てる農作物は、味が良く栄養豊富なため非常に魅力的な餌となり得るでしょう。
農林水産省が発表したデータによると、アライグマを含む害獣による農作物への被害額は令和3年時点で約19億円と発表されています。
全体的な被害額は平成25年ごろからほぼ横ばいではありますが、農村部などの一部地域ではその被害が拡大しています。
農業だけでなく畜産や水産業にも影響をおよぼし、家庭菜園をしている人であれば家庭で育てた野菜や果物もターゲットとなるでしょう。
農業・畜産・水産業を営む方、家庭菜園をしている人にとって、これら被害は頭を悩ませる問題となっています。
人々への生活環境の被害
夜行性でとくに人々が寝静まった夜中に餌などを求めて積極的に活動するため、騒音被害に悩まされる可能性があるでしょう。
また、糞尿の臭いが強烈かつ決まった箇所に糞尿をする習性があることから、家屋内に潜んでいる場合は悪臭による健康被害にも警戒が必要です。
病気の感染にも要注意
野生のアライグマは、その身体に多数の寄生虫や病原菌が付着しているため、接触は極力避けるべきです。
致死率100%といわれる「狂犬病」をはじめ「アライグマ回虫症」や「レプトスピラ症」といったさまざまな感染症を発病する恐れがあるため、仮に被害に遭っていたとしても接触は避け、具体的な対処はプロに依頼したほうがよいでしょう。
下手をすれば命に関わる危険性もあるため、十分な注意が必要です。
万が一、アライグマとの接触で怪我を負った場合は、応急処置をしたうえですぐに病院に受診し、医師の指示に従って対応してください。
建物の腐食や倒壊の危険性
糞尿によって、家の柱や壁・床などが傷んだり腐ったりすることもあります。
アライグマは比較的大型の動物であるため、腐敗している木材の上に乗ると抜け落ちる可能性もあるでしょう。
また、巣を作るために断熱材や電線などを引きちぎる、年季が入ってもろくなっている木材・床材・壁などを食いちぎって穴だらけにする(食いちぎって屋内に浸入するケースもある)といった被害も報告されています。
下手をすれば建物の倒壊につながる恐れもあり、放置するほど建物への被害は拡がっていくでしょう。
近年では、人間の住む住居だけでなく、神社や寺院などにも侵入するケースが増加しており問題視されています。
被害を防ぐ方法とは?
ここでは、被害を抑えるポイントについて解説します。
接触を避ける
上述でもご紹介した通り、野生動物との接触は極力避けるべきです。
不慣れな人が下手に対処すると感染の原因となり得るため、できれば早急にプロに相談すべきといえるでしょう。
また、アライグマを介して気づかないうちに病気に感染する可能性もあるため、もし周囲で目撃例があった場合は、手洗いなど衛生面を徹底しておきましょう。
もしも外干ししている洗濯物などにアライグマが接触した形跡があれば、再度の洗濯+煮沸消毒することをおすすめします。
侵入経路を徹底的に封鎖する
建物への浸入経路は多岐に渡り、その経路となり得る隙間を金網などで徹底的に封鎖しましょう。
忌避剤や超音波発生装置などを利用して「近づきたくない」と感じさせる工夫を講じることも重要です。
なお「すでに侵入・棲みついている形跡がある」場合は、アライグマを追い出したあとで侵入経路を封鎖しましょう。
これらは素人が完璧に対処することは難しいため、被害を気にされる人は早めにプロに相談することをおすすめします。
まとめ
アライグマは法律により規制されているため、現在はペットとして飼うことが禁じられています。
また、その獰猛な性格から成長するほど手懐けることは難しく、下手をすれば感染症などを発病する恐れもあるため不用意に接触すべきでもありません。
被害に遭われている人or被害を危惧している人は、忌避剤などでできる限りの対処をしつつ、できるだけ早めにプロに相談すべきといえるでしょう。
被害が深刻化する前に、然るべき対処を実施してください。
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