山梨県に生息する野生鳥獣の種類とは?危険な害獣の特徴や被害内容・効果的な駆除方法を解説!

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日本には多くの野生鳥獣が生息しており、そのなかには人の生活に悪影響をおよぼす「害獣」の類も存在します。

害獣の被害は、日本全国のどこに住んでいても遭遇する可能性がありますが、気候や環境が地域によって異なるため、地域ごとに被害内容は異なります。

山梨県であれば、どのような野生鳥獣が出没しやすく、どういった被害をもたらすのでしょうか?

本記事では、山梨県において出没しやすい野生鳥獣の種類や被害内容についてご紹介します。

害獣の具体的な防除法についても解説しておりますので、害獣の被害にお悩みの方はぜひ参考にしてください。

山梨県の地域の特徴について

山梨県は日本の中部地方に位置する県であり、県庁所在地は甲府市です。

首都圏整備法における首都圏の一角を成すと同時に、豊かな自然に恵まれた地域として農業なども盛んにおこなわれています。

本章では、山梨県の土地環境や気候・生息する野生鳥獣について詳しくご紹介していきます。

山梨県の気候や土地環境

山梨県は、日本の中部地方に位置しており、日本のほぼ真ん中にある県です。

富士山・八ヶ岳・南アルプスなどさまざまな高い山に囲まれている「ぼん地」といわれる地形をしており、東京都・神奈川県・埼玉県・静岡県・長野県が隣接しています。

加えて、釜無川・笛吹川・富士川といった大きな川もたくさん流れており、山や川などの自然が生活を豊かにし、山梨ならではの農産物や特産物をもたらしていることが特徴に挙げられます。

「八ヶ岳おろし」と呼ばれる冬の季節風が強いものの、降雪は豪雪地帯の南アルプス市や早川町を除いてわずかであり、夏は(標高の割に)最低気温が高くなりやすく、6~8月の最低気温の月平年値は熊谷や東京など標高の低い平野部とほぼ変わりません。

また、年間の降水量は少なく日照時間も長いものの、台風の通過経路になることが多く、度々集中豪雨に見舞われる可能性もあるようです。

山麓地域は盆地部よりも気温が冷涼かつ1日の気温差が大きく・降水量も多いため、盆地周縁では冷涼な気候に向いた葡萄の栽培が盛んにおこなわれています。

山梨県の産業・特産物

山梨県は中央高地式気候で寒暖の差が大きいため、農業に適した地域は甲府盆地を中心に水捌けのよい平坦地が基本となります。

山梨は日本でいちばん日照時間が長い県かつ盆地という地形上、中山間地域は特に太陽の光をたっぷり浴びられるため、花・フルーツ・農産物の生産地としても恵まれている地域です。

県土の約78%を森林が占める豊かな土地でもあり、生産量日本一の葡萄や桃をはじめ、南アルプス市でも桃・サクランボ・スモモなどの収穫量が非常に高く、常に全国上位のフルーツ王国としても知られています。

また、首都圏や中京圏から近い地理的条件を活かして「観光農園」を営んでいる農家も多く、フルーツが木になっている状態から自分で好きなものを選んで「収穫する」「採れたての果物を食べる」という体験ができることも特徴に挙げられるでしょう。

山梨県に生息する野生動物の種類

清らかな水に恵まれ、雄大な森や山々が広がる山梨県には、さまざまな動植物が生息しています。

珍しい生き物としては、国の特別天然記念物に指定されているニホンカモシカやライチョウ、背羽根の美しさから「清流の宝石」とも呼ばれるカワセミ(甲府市の鳥に定められている)、イヌワシなどが挙げられます。

珍しい植物としては梅花藻やフジマリモが、美しい清流に生息するといわれるホトケドジョウやクニマスといった魚・サンショウウオなど、他の地域ではなかなか見ることができない多種多様な動植物も多く、山梨の豊かな自然を象徴しているといえるでしょう。

また、近年全国的に生息数が増えているイノシシ・サル・シカや、人身被害など危険度の高いクマ、家屋に棲みつく害獣としても名前が挙がるネズミ・ハクビシン・アライグマ・タヌキといった人に害をおよぼす恐れのある動物も多く生息しています。

近年は、自身の食べ物や棲み処を求めて人の生活圏に出没する野生鳥獣も増えており、人間と野生鳥獣の共生が今後の大きな課題となるでしょう。

山梨県の野生鳥獣による害獣被害について

自然の中で暮らす野生動物は、時に人の生活圏に浸入し人にさまざまな悪影響をもたらします。

農作物への影響だけでなく、近年は家屋に棲みついて害獣被害をもたらす動物も増加しており、山梨県でも被害を軽減できるようさまざまな対策を講じています。

本章では、山梨県の令和5年度の農作物への被害状況や、山梨県が実施している農作物の鳥獣被害防止対策事業についてご紹介します。

令和5年度の農作物への被害状況

令和5年度の野生動物による農作物への被害は、山梨県のホームページにて情報が公開されており以下の通りです。

獣類被害面積(ha)被害量(t)被害金額(百万円)
サル2621135
イノシシ3015034
シカ399532
その他121713

参考:山梨県 山梨県における鳥獣の農作物被害状況

その他の獣類は、ハクビシン・ネズミ・アライグマ・クマ・タヌキの順に被害が多いと発表されています。

また、鳥類による被害も発生しており、令和5年度であれば被害面積18ha・被害量63t・被害金額2.5億円で、カラス・ムクドリ・スズメ・ヒヨドリ・ハトの順に多いとのことです。

山梨県の野生鳥獣による農作物への被害の合計は、被害面積125ha・被害量537t・13.9億円であり、その被害がいかに深刻なものかがわかるでしょう。

山梨県の農作物の鳥獣被害防止対策事業について

山梨県では、野生鳥獣による農作物への被害を軽減するため、獣害防止柵などの整備や集落で取り組む被害防止活動の支援といったさまざまな事業を展開しています。

事業内容としては、以下が挙げられます。

  • 鳥獣被害防止総合対策事業費補助金
  • 中山間地域総合整備事業費等
  • 鳥獣害防除事業
  • 鳥獣害対策指導体制整備事業
  • 総合農業技術センター試験研究費

県内の各市町村では、鳥獣被害防止総合対策事業費補助金を活用して、被害防止に向けたさまざまな対策に取り組んでいます。

その詳細は、山梨県のホームページにある「農作物の鳥獣被害防止対策事業について」にて確認できます。

補助金の活用事例なども紹介されており、気になる方はサイトをチェックしてみるとよいでしょう。

農作物への被害で特に注意すべき鳥獣とは?

この章では、山梨県において農作物への被害が多い鳥獣の特徴や被害額の詳細について解説します。

被害額などの詳細は、山梨県が公表している「山梨県における鳥獣被害の状況」を参考にしております。

警戒すべき獣類

まずは獣類からのご紹介です。

ここでは計8種類の野生動物をご紹介しており、ハクビシン・ネズミ・アライグマ・タヌキなどの中・小型の動物は、家屋に棲みつきさまざまな被害をもたらす厄介な害獣としても知られています。

野生動物の被害は農作物だけにとどまらず、人々の生活に甚大な悪影響をおよぼす恐れがあることを理解しておきましょう。

サル

山梨県では、サルによる農作物への被害がもっとも大きいとされており、平成30年~令和5年の被害内容は以下の通りです。

平成30年令和1年令和2年令和3年令和4年令和5年
被害面積(ha)312828282726
被害量(t)253246248216212211
被害金額(百万円)494444343535

近年では、令和3年に被害額が大きく減少したものの、以後は横ばいで大きな変化は見られません。

サルは雑食でなんでも口にしますが、その中でも稲・豆類・果樹・野菜・いも類など、田畑の作物に大きな被害をもたらします。

また、もともとは山奥に生息していたサルですが、近年は市街地での目撃情報も増えており、街やそこに住まう住民への被害が発生しています。

サルは群れで行動することが多く、非常に頭のよい動物です。

サルを近づかせないために一般の方ができることは、人慣れを防ぐこと・サルのエサとなるものを残さないことです。

また、もしもサルと遭遇した場合は、むやみに近づかずに、静かにそっとその場を離れてください。

刺激を与えて興奮させると襲い掛かってくる恐れもあるため、危険を感じた場合は、目を合わせないようにしてゆっくりと立ち去りましょう。

山梨県では、山梨県第二種特定鳥獣(ニホンザル)管理計画という、サルによる被害をなくすための対策が毎年実施されています。

それでも野生のサルの被害をゼロにすることは難しいため、被害を減らすためには地域にお住いの方々一人ひとりの行動が重要となってくるでしょう。

イノシシ

近年、イノシシは全国的に生息数が増大しており、日本各地で甚大な被害を発生させています。

山梨県では、サルに次いで農作物への被害がもっとも大きく、平成30年~令和5年の被害内容は以下の通りです。

平成30年令和1年令和2年令和3年令和4年令和5年
被害面積(ha)353628283030
被害量(t)182185167147150150
被害金額(百万円)383935333434

令和2年に被害額が減少したものの、以後は横ばいで大きな変化は見られません。

イノシシも雑食性であり、稲・豆類・雑穀・果樹・飼料作物・野菜・いも類など多くの農作物に被害を与えています。

畑にある作物の食害だけでなく、農作物の掘り起こしたり、田んぼで泥浴びをするなど田畑の土地そのものを荒らしてしまう厄介な存在です。

また、近年は市街地に出没するケースも増えており、人身被害にも警戒しなければいけません。

直近であれば、2024年11月27日、山梨県笛吹市の病院の敷地に体長1.5mほどの巨大イノシシが現れたとニュースになっていました。

イノシシは本来昼行性であるにも関わらず、人がいる場所に出没する際は警戒して夜間に訪れるなど、神経質かつ臆病な性格をしています。

しかし、環境に慣れてしまう(安全な場所と判断する)と、昼間にでも出没する恐れがあり、もし遭遇してしまった場合は襲われれば命の危険すらある危うい動物です。

もしもイノシシの出没情報があった場合は、情報収集をしながら極力外出しない(出没した場所付近には近づかない)ようにしましょう。

万が一遭遇した場合も、決してイノシシを興奮させる行動はせず、近づいてきても慌てずにゆっくりと後ずさりしてください。
(急に動くとイノシシも驚き思いもよらない事故につながる可能性がある)

イノシシがたてがみを逆立て威嚇音を発している場合は、特に注意が必要です。

イノシシの被害は地域全体の問題でもあるため、山梨県でも山梨県第二種特定鳥獣(イノシシ)管理計画など、地域ごとにさまざまな対策が講じられています。

シカ

シカは、草食動物かつ臆病で慎重なおとなしい性格をしており、人間側から刺激しない限りは襲われる心配はない動物です。

一見すると無害のように感じるかもしれませんが、農業や林業を営んでいる方からは警戒すべき害獣として認識されています。

事実、山梨県では、サル・イノシシに次いで農作物への被害が大きく、平成30年~令和5年の被害内容は以下の通りです。

平成30年令和1年令和2年令和3年令和4年令和5年
被害面積(ha)424140404139
被害量(t)10499102969495
被害金額(百万円)323131323232

被害量(t)はサルやイノシシに比べ少なくはありますが、被害面積(ha)はサルやイノシシを大きく上回っています。また、被害額もほぼ横ばいで大きな変化が見られません。

シカはほとんどの植物を食べることができ、特に人間が育てる農作物は栄養価が高いことからターゲットにされやすいといわれています(好物がなければ周囲にある植物をどんどん食べる)。

また、林業用の苗木・樹齢の高い木の樹皮・形成層を食べたり、オスが角をこする際に樹皮を剥がすといった林業や自然にも甚大な被害を発生させています。

近年は、地球温暖化によって暖冬となるケースが多い・高齢化によるハンター人口の減少などもあって、シカの生息数は全国的にも増加傾向にあり、日本各地で被害が拡大しているのが現状です。

事実、山梨県では2020年3月末時点で約3.4万頭のシカが生息していると推定されており、適正数の7倍以上となっています。

シカの増えすぎにより農作物の食害などが深刻化し、その対策として山梨県では2022年に「今後10年間で現在の半分に減らす計画」をまとめ、実行に移しています。

クマ

近年、クマの出没や被害が全国的に相次いでおり、山梨県でも人身被害や農林業被害などが発生しています。

山梨県では、ホームページにて「ツキノワグマ出没に対する注意について」という情報が公開されています。

ツキノワグマ出没マップや山梨県ツキノワグマ出没対応マニュアルなどさまざまな情報を確認できるため、山梨県にお住いの方はもちろん、旅行などで山梨県に訪れる方も事前に確認しておきましょう。

秋頃~初冬にかけては冬眠を前にクマがエサを求めて活動範囲を広げる傾向にあり、同時に人間も秋の行楽やキノコ採りなどを楽しむために山にケースが多く、他の時期に比べて遭遇しやすいといえます。

直近のツキノワグマの出没状況(ツキノワグマの出没・目撃情報参照)を確認し、ツキノワグマと出会う危険がある場所へ入る際には、ツキノワグマ対策をおこなったうえで細心の注意を払って行動しましょう。

ハクビシン

ハクビシンは日本各地に生息しており、山梨県でもさまざまな被害を発生させています。

雑食性のなかでも特に甘い果実を好む傾向にあり、果樹や野菜への被害が特に問題となっているようです。

また、ハクビシンは家屋の屋根裏や床下などに入り込み、棲みつく害獣という特徴も有しています。

もしも棲みつかれると、足音や鳴き声による騒音・糞尿による悪臭や建物の腐食・断熱材などをかじる・感染症の発病など人や建物に甚大な被害を与える恐れがあります。

そのため、家屋に浸入させない・侵入している場合は追い出すなどをおこなわなければ、その被害はどんどん拡大していくでしょう。

ハクビシンの体長は約50~70cm前後で、体重は2~3kg程度の動物です。

日本で唯一のジャコウネコ科の哺乳類であり、ネコのようなしなやかな体つきで運動能力が高く、長い鼻筋と額から鼻にかけての毛並みが白くなっているのが特徴です。

一見すると可愛らしい見た目をしており、性格も臆病かつ穏やかでおとなしいため、触れてみたいと近づこうとする方もいるかもしれません。

しかし、人間の行動に驚いて襲い掛かってくる可能性があること、触れた手や怪我を負った傷口から菌が入って感染症に発病する恐れがあるため、絶対に不用意に近づいていけません。

ネズミ

ネズミは、農作物への被害以上に「家屋に棲みつく害獣」というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。

イメージ通り、ネズミは家屋の屋根裏や床下などを寝床にし、家の中の食材・食べカス・生ごみだけでなく、周辺にある畑や家庭菜園の農作物などに食害をもたらす恐れがあります。

ネズミにもいくつかの種類がありますが、家屋に棲みつくネズミは「ドブネズミ」「クマネズミ」「ハツカネズミ」の3種が基本となります(3種を合わせてイエネズミと呼ばれることもある)

  • ドブネズミ :体長約25cm前後の大型のネズミで、家屋内に侵入した際は下水道や床下に住み着きやすい
  • クマネズミ :体長15~20cmほどの中型のネズミで、木登りが得意で高所となるマンションや屋根裏に棲みつきやすい
  • ハツカネズミ:体長6~10cmほどの小型のネズミで、普段は草むらや雑木林に生息し、寒い時期を迎えると家屋内に侵入してくる可能性が高まる

ネズミの最大の特徴は「伸び続ける歯」にあり、意図的に歯を削らないと歯が伸び続けエサを食べることができなくなり、いずれ餓死してしまいます。

そのため、ネズミは常になにかをかじる(歯を削る)必要があり、家に棲みついた場合は建材・断熱材・コンクリートなどどんなものでもかじる習性があるのです。

その結果、家屋の寿命を大きく縮めることとなり、加えて人やペットへの健康被害をもたらすなど、小さいながらも非常に厄介な生き物といえます。

野生動物のほとんどは鳥獣保護管理法などで管理されているため無許可で駆除できませんが、ネズミだけはこの法律に該当せず、一般の方でも自由に駆除できます。

ネズミに対する害獣対策グッズも数多く販売されているため、市販の対策グッズを用いてネズミの侵入・繁殖を防ぐとよいでしょう。

アライグマ

アライグマは、今やその可愛らしいイメージとはかけ離れた害獣として認識されています。

雑食性でどんなものでも食べ、かつ食欲旺盛で農作物だけでなく家の中の食材や生ごみなども平気で口にします。
(農業関係者がアライグマの食害で受ける年間被害総額は、3・4億円ともいわれている)

また、肉もよく食べ鶏程度の大きさの動物であれば食物とみなすため、アライグマが家畜やペットを食べるといった事件も後を絶ちません。

アライグマは警戒心が薄い動物であり、人間の住む家にも入り込み、屋根裏や床下などに棲みつく恐れもあります。

ハクビシンやネズミと同じく、家屋に棲みつかれると人・ペット・建物に甚大な被害が発生することとなるでしょう。

また、アライグマはその見た目とは裏腹に非常に獰猛で攻撃的な性格をしているため、不用意に近づけば襲われる可能性も高いといわれています。

野生動物は総じてその体に多数の病原菌や寄生虫を有しているため、噛みつきや引っ掻きなどで傷を負うと、その傷口から菌が体内に侵入し感染症を発病する恐れがあるため非常に危険です。

被害を放置するほど被害は拡大するため、アライグマそのものや糞・足跡などの痕跡を発見した場合は、早急な対処が必要といえるでしょう。

タヌキ

タヌキは日本人にとって古くからなじみ深い動物であり、その可愛らしい容姿から「人に害をおよぼすことはあるの…?」と疑問を感じる方もいるかもしれません。

しかし、実際は山林や田畑を荒らす厄介者であり、近年はハクビシンやアライグマなどと同様に家屋に棲みつきさまざまな被害をもたらす害獣としても認識されています。

もともと自然界に生息するタヌキですが、近年は自然環境が大きく減少したことにより人里へ下りてくるタヌキも増加し、農家の田畑や山林の近隣住民に多大な被害をおよぼしています。

小さい果物が食べられるだけでなく、大きなスイカやトウモロコシなどの農作物にも被害がおよび、その被害は年々深刻化しています。

屋根裏や床下など家屋に棲みついた場合は、ここまでにご紹介した他の害獣と同じく、人・ペット・建物に甚大な被害をおよぼす恐れがあるでしょう。

警戒すべき鳥類

山梨県において農作物への被害が大きい鳥類は、カラス・ムクドリ・ヒヨドリ・スズメ・ハトです。

カラス以外の鳥類は、一般の方からすると害鳥という印象を受けないものも多いといえます。

確かに、市街地で人に害を成す鳥こそ少ないものの「農作物を食い荒らす」ことから農家にとっては忌むべき存在です。

ここでは、特に今後の被害がより懸念されるカラス・ムクドリ・ヒヨドリの3種の特徴をご紹介します。

カラス

カラスによる被害は、農業を営んでいる方だけでなく、一般の方にも無視できないものです。

カラスは雑食性であり、稲・麦類・豆類・果樹・飼料作物・野菜・いも類などさまざまな作物に大きな被害を与え、市街地であればゴミ袋をくちばしで破って中の生ごみを食い荒らす・フンを落とす・鳴き声による騒音などの被害を発生させています。

その結果、カラスの被害は日本各地で問題視されており、地域ごとにさまざまな対策が実施されています。

とはいえ、空からやってくるカラスの被害を完全に防ぐことは難しく、今も甚大な被害を発生させている害鳥といえるでしょう。

今後も徹底した対策が求められる生き物といえます。

ムクドリ

ムクドリの全長は24cmほどで、スズメより大きく・ハトより小さな見た目をしている鳥です。

ムクドリは「椋の木の実を好んで食べる」ことからその名が付いたと呼ばれるようになったといわれており、首元とお腹が白く・足とクチバシが黄色くなっていることが特徴に挙げられるでしょう。

古くは農作物に付着する虫を食べることから益鳥として重宝されていることもありましたが、近年では果樹を食べることが問題視されており、山梨県でも農作物への被害が拡大傾向にあります。

また、地域住民にとってもさまざまなトラブルを引き起こす害鳥として認識されています。

ムクドリにとっては自身の生存のためにおこなっている行動に過ぎないものの、それが結果的に人間の生活に害を与えているのです。

人間と鳥獣の共生は、今後も人々が生活していくうえでの重要な課題となっていくでしょう。

ヒヨドリ

ヒヨドリは全国に分布する小型の鳥であり、バードウォッチャーの観察対象となるなど人々に人気のある鳥です。

しかし、果樹を食害するため、農家にとっては対処すべき害鳥として認識されています。

ヒヨドリの本来の食性は、昆虫・果実・花の蜜などが主となりますが、冬季に昆虫はほぼいませんし、秋に実った果実などは他の鳥獣にとっても大切な栄養源でもあり、競争率がとても激しくなります。

そのため、特に冬場はヒヨドリの食べるものがとても少ない時期になるといえるでしょう。

ただ、ヒヨドリは食物繊維を自力で分解してエネルギー変換できる力を有しているため、本来食すべき食べものがなくなってくると、野菜に手を出し始めます。

その結果、時期を問わずヒヨドリによる被害が発生する可能性があり、特に農家にとっては警戒すべき存在となり得ます。

害獣の防除はプロの業者へ相談しよう!

野生動物は数多く存在し、なかには人の住まう家屋などに浸入し害獣被害をもたらす生き物もいます。

イノシシ・シカ・クマといった地域全体に被害をおよぼす可能性がある動物の被害はお住いの自治体へ相談し、ハクビシン・ネズミ・アライグマ・タヌキといった家屋に浸入し害獣被害をもたらすものは、プロの害獣駆除業者へ相談するのがよいといえるでしょう。

その理由は、自治体が対策に動いてくれるのは「農作物などの経済的被害が大きい場合」や「地域全体に被害がおよぶ場合」がほとんどであり、一家庭の害獣被害の対処では捕獲や駆除に動いてくれる可能性が限りなく低いからです。

害獣駆除業者へ依頼すれば、家屋に潜む害獣の防除を徹底してくれるだけでなく、害獣がいた箇所の清掃・消毒や、万が一被害が再発した際にも迅速かつ格安で対処してもらえるでしょう。

ただし、害獣駆除業者によって防除費用やサービス内容には違いがあるため、依頼する際は複数社に現地調査や見積もりを依頼し、複数社を比較したうえでより信頼できる業者へ依頼することが重要です。

業者のなかには悪徳業者の類も存在するため、業者へ依頼したことのない方が「いきなり業者に相談するのは不安を感じる…」という場合は、お住いの自治体へ相談してみるのもよいかもしれません。

自治体によっては害獣被害に関する相談や業者の斡旋などをおこなっているところもあります(許可申請を得ている場合は、捕獲機の貸し出しをしているケースもある)。

自治体によってサポートの範囲が異なるため、気になる方は事前にお住いの自治体のホームページや電話問い合わせなどで詳細を確認してから、状況に応じて適切に相談してみるとよいでしょう。

まとめ

野生鳥獣による被害は全国各地でさまざまに発生しており、地域ごとに然るべき対策が講じられています。

山梨県でもさまざまな策が実施されているものの、野生鳥獣による被害をゼロにすることはできず、人間と野生鳥獣がどのように共生していくかが今後の課題となるでしょう。

また、農作物への被害だけでなく、家屋に棲みつく害獣にも注意が必要です。

一般の方が害獣対策をすることには限界があり、かつ多大な手間をリスクを伴うため、もし実際に被害に遭っている・害獣や痕跡を目撃した場合は、被害が大きくなる前にプロの業者へ対処を依頼することをおすすめします。

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